講演情報
[O19-1]脾彎曲授動の手術手技
加藤 博樹, 出嶋 皓, 中守 咲子, 白鳥 広志, 夏目 壮一郎, 髙雄 美里, 中野 大輔, 川合 一茂 (東京都立駒込病院大腸外科)
【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は支配血管分岐形態にバリエーションが多く,また肝彎曲や脾彎曲授動が必要であることから難易度が高い.また症例数も少ないため経験の少ない医師に対してのトレーニングが課題である.脾彎曲授動の際には周辺臓器である膵臓,脾臓の損傷を回避するために慎重な手術操作を要する.脾彎曲部授動には複数の方法があることを熟知して,術中に上手く組み合わせることで肥満症例,癒着症例といった困難症例などにも円滑に対応が可能となる.
【手術手技】
脾彎曲部授動は4通りのアプローチがある.どこから網嚢内を解放して膵下縁の組織を切離するかで分類する.
①外側アプローチ(外側から網嚢を解放して膵下縁組織を切離する)
②頭側アプローチ(頭側から大網を切離して網嚢を解放した後に膵下縁組織を切離する)
③内側アプローチsubmesocolic approach(左側大腸癌手術の内側アプローチを膵臓が確認できるまで行い,IMVの外側で膵下縁組織を切離して網嚢を解放した後に脾彎曲に向かって膵下縁切離を行う)
④内側アプローチ supracolic approach(IMV膵下縁流入部の頭側外側の膵臓直上で結腸間膜を切離して網嚢を解放する.その後に膵下縁と結腸間膜の間を切離する).
当院は③または④を第一選択として,困難な場合は②で脾彎曲部授動を行っている.
【結果】脾彎曲部から口側肛門側に10cm以内の癌を脾彎曲部癌と定義した.2020年1年から2023年12月に施行した脾彎曲部結腸癌手術は45例であった.術式は結腸部分切除が38例,左半結腸切除術が7例であり,開腹1例,腹腔鏡下40例,ロボット支援下4例であった.手術時間中央値230分,出血量中央値10mlであり,術後合併症は術後イレウス8例,胃内容排泄遅延2例,吻合部出血1例であったが,Clavien-Dindo分類Grade3b以上の合併症は0例であった.
【結語】脾彎曲部結腸癌手術は安全に行われていた.腹腔鏡下脾彎曲部授動の手技を画像と動画を用いて供覧する.
【手術手技】
脾彎曲部授動は4通りのアプローチがある.どこから網嚢内を解放して膵下縁の組織を切離するかで分類する.
①外側アプローチ(外側から網嚢を解放して膵下縁組織を切離する)
②頭側アプローチ(頭側から大網を切離して網嚢を解放した後に膵下縁組織を切離する)
③内側アプローチsubmesocolic approach(左側大腸癌手術の内側アプローチを膵臓が確認できるまで行い,IMVの外側で膵下縁組織を切離して網嚢を解放した後に脾彎曲に向かって膵下縁切離を行う)
④内側アプローチ supracolic approach(IMV膵下縁流入部の頭側外側の膵臓直上で結腸間膜を切離して網嚢を解放する.その後に膵下縁と結腸間膜の間を切離する).
当院は③または④を第一選択として,困難な場合は②で脾彎曲部授動を行っている.
【結果】脾彎曲部から口側肛門側に10cm以内の癌を脾彎曲部癌と定義した.2020年1年から2023年12月に施行した脾彎曲部結腸癌手術は45例であった.術式は結腸部分切除が38例,左半結腸切除術が7例であり,開腹1例,腹腔鏡下40例,ロボット支援下4例であった.手術時間中央値230分,出血量中央値10mlであり,術後合併症は術後イレウス8例,胃内容排泄遅延2例,吻合部出血1例であったが,Clavien-Dindo分類Grade3b以上の合併症は0例であった.
【結語】脾彎曲部結腸癌手術は安全に行われていた.腹腔鏡下脾彎曲部授動の手技を画像と動画を用いて供覧する.