講演情報

[P14-2-2]NeoRAS野生型直腸癌多発肺・骨再発に対し,抗EGFR抗体薬レジメンで病勢コントロールが得られた1例

真貝 竜史, 長岡 慧, 中塚 梨絵, 楠 貴志, 廣田 昌紀, 松本 崇, 間狩 洋一, 大島 聡 (公立学校共済組合近畿中央病院外科)
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【はじめに】原発巣組織RAS変異型切除不能再発大腸癌治療において,抗EGFR抗体薬レジメンは一般的に推奨されていない.今回初回化学療法導入から6年経過後増大を来した多発肺・骨転移巣に対して,ONCOBEAM™ RAS CRCキットにてNeoRASを診断,抗EGFR抗体薬レジメンで病勢コントロールが得られた直腸癌症例を報告する.
 【症例】70代女性.X年12月上部直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除術施行.40x50mm,tub2>1,pT3(SS),ly2,v1,N1(1/19)pStage IIIa.KRAS G12Vmutant.術後補助化学療法(Capecitabine)完遂直後,両肺に小結節出現.X+1年11月よりS-1+Bev,SOX+BevをX+4年3月迄施行.画像上CRで半年間ケモフリーだったが,再増大した長径15mm左肺結節に対してX+4年4月左肺上葉部分切除施行.同年10月に多発小結節再燃したためS-1+Bev再開.X+6年3月IRIS+Bev,同年10月TAS+Bev開始.X+7年8月最大径26mmに増大,同時に胸椎Th12転移疑いを認めた.ONCOBEAM™ RAS CRCキットにてNeoRASを診断,十分な患者説明の後mFOLFOX+CETUを導入した.X+8年4月にPDとなるまでの半年間,一時縮小傾向を伴う病勢コントロールを得た.
 【まとめ】RAS変異型大腸癌治療において一般的に抗EGFR抗体薬投与は検討されない.加えて,肺転移のみの症例においてはOncoBEAM™と組織の不一致率が指摘されている.今回抗がん剤暴露期間が長期となったRAS変異型症例においてlate lineで抗EGFR抗体薬レジメンの一定の効果が得られた治療経験を報告する.