講演情報
[R2-2]良性疾患による下部消化管穿孔に対する緊急手術症例での後期高齢者における転帰のリスク因子の検討
勝又 健太1, 内藤 正規1, 根岸 宏行1, 臼井 創大1, 天野 優希1, 増田 哲之1, 澤田 真裕1, 牧角 良二2, 大坪 毅人2 (1.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器・一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科)
【はじめに】本邦では高齢化が進行し,後期高齢者が総人口の約15%を占めるに至っている.それに伴い,後期高齢者の下部消化管穿孔症例も増加し,厳しい転機を辿る症例もしばしば遭遇するようになってきている.
【目的】後期高齢者における良性疾患による下部消化管穿孔手術での転帰に関わる因子について検討する.
【対象・方法】当院で2020年1月1日から2023年7月31日までの期間に,下部消化管穿孔の診断で緊急手術を行った後期高齢者28例のうち,良性疾患による下部消化管穿孔を生じた19例を対象とした.転帰に影響する因子について後方視的に検討を行った.手術直前に撮像されたCTで腰椎L3レベルでの腸腰筋断面積(cm2)を測定し,身長(m)の2乗で割ったものをPsoas Mass Index(PMI)とし,男性6.36cm2/m2,女性3.92cm2/m2をカットオフ値としてサルコペニアの有無の判定とした.
【結果】性別は男性5名,女性14名であった.年齢の中央値は87(76-96)歳,術後に退院または転院となったのは13例,周術期死亡が6例であった.転機に年齢,入院元(自宅かどうか),白血球数,CRP値,PMI値,サルコペニアの有無など術前把握可能な因子に関して統計学的な有意差はなかった.術中出血量がp<0.05と統計学的有意差を認め,手術時間(p=0.087),血液培養陽性(p=0.063)と差がある傾向にあった.性別での検討では,男性では全項目で統計学的有意差を認めなかった.女性では,手術時間および術中出血量がp<0.05と統計学的有意差を認めた.
【結語】
良性疾患による下部消化管穿孔では手術時間,術中出血量が予後に影響を与えると考えられた.手術侵襲低減のため,術式選択などに検討の余地があると考えられた.
【目的】後期高齢者における良性疾患による下部消化管穿孔手術での転帰に関わる因子について検討する.
【対象・方法】当院で2020年1月1日から2023年7月31日までの期間に,下部消化管穿孔の診断で緊急手術を行った後期高齢者28例のうち,良性疾患による下部消化管穿孔を生じた19例を対象とした.転帰に影響する因子について後方視的に検討を行った.手術直前に撮像されたCTで腰椎L3レベルでの腸腰筋断面積(cm2)を測定し,身長(m)の2乗で割ったものをPsoas Mass Index(PMI)とし,男性6.36cm2/m2,女性3.92cm2/m2をカットオフ値としてサルコペニアの有無の判定とした.
【結果】性別は男性5名,女性14名であった.年齢の中央値は87(76-96)歳,術後に退院または転院となったのは13例,周術期死亡が6例であった.転機に年齢,入院元(自宅かどうか),白血球数,CRP値,PMI値,サルコペニアの有無など術前把握可能な因子に関して統計学的な有意差はなかった.術中出血量がp<0.05と統計学的有意差を認め,手術時間(p=0.087),血液培養陽性(p=0.063)と差がある傾向にあった.性別での検討では,男性では全項目で統計学的有意差を認めなかった.女性では,手術時間および術中出血量がp<0.05と統計学的有意差を認めた.
【結語】
良性疾患による下部消化管穿孔では手術時間,術中出血量が予後に影響を与えると考えられた.手術侵襲低減のため,術式選択などに検討の余地があると考えられた.