講演情報
[WS2-1]当科における潰瘍性大腸炎に対する経肛門内視鏡併用腹腔鏡下大腸全摘術・回腸嚢肛門吻合の手術手技と短期成績の検討
佐々木 恵, 柴野 潤, 貫井 聖人, 原田 紡, 山本 祥馬, 高岡 亜弓, 花岡 まりえ, 山内 慎一, 藤原 尚志, 徳永 正則, 絹笠 祐介 (東京科学大学消化管外科学分野)
【背景】潰瘍性大腸炎(UC)における大腸全摘術では,肛門管内における確実な直腸粘膜抜去および内肛門括約筋の温存が重要である.当科では大腸全摘,回腸嚢肛門吻合(IPAA)に対する経肛門内視鏡手術と腹腔鏡下手術を2チーム同時に行うtrans anal minimally invasive proctocolectomy(以下:TAMIP)を第一選択としている.
【目的】当科での大腸全摘術の手術手技を供覧し,短期成績を検討する.
【対象と方法】①当科で施行しているTAMIPの手術動画を供覧し,手術手技について概説する.②2017年7月から2024年4月までに当科でUCに対してTAMIPを施行した32例を対象とし,短期成績について後方視的に検討する.
【手術手技】腹腔操作と経肛門操作を2チームで同時に開始する.腹腔操作はS状結腸の授動から開始し,下行結腸,脾彎曲結腸,横行結腸左側,横行結腸右側,回盲部,上行結腸と順次結腸の授動を終えた後,最後に骨盤操作を行う.肛門操作では,直腸粘膜を歯状線より全周性に切開し,粘膜抜去を開始する.直腸断端の粘膜を縫合閉鎖の後にGel POINT Pathを留置し内視鏡下での操作に入る.粘膜抜去は肛門管上縁を越えるまで行い,肛門管内の内括約筋を確実に温存する.肛門管上縁を越えたら直腸の内輪筋・外縦筋を切開しTMEの層に入る.頭側へ向けてTMEを行い,腹腔操作の剥離層とつなげる.
【結果】男性20例,女性12例,年齢の中央値は36歳(18-82)であった.緊急手術は9例(28.1%)であり,IPAAが26例(81.2%),永久人工肛門造設が6例(18.7%)に施行された.手術時間(中央値)は313分(189-483),出血量(中央値)は77ml(0-380)であった.Clavien-Dindo分類grade IIの術後合併症を7例(21.8%),grade IIIの合併症を3例(9.3%)に認めた.術後在院日数の中央値は8日(6-27日)であった.
【結語】 TAMIPは手術時間短縮に有用であり,短期成績は比較的良好であった.
【目的】当科での大腸全摘術の手術手技を供覧し,短期成績を検討する.
【対象と方法】①当科で施行しているTAMIPの手術動画を供覧し,手術手技について概説する.②2017年7月から2024年4月までに当科でUCに対してTAMIPを施行した32例を対象とし,短期成績について後方視的に検討する.
【手術手技】腹腔操作と経肛門操作を2チームで同時に開始する.腹腔操作はS状結腸の授動から開始し,下行結腸,脾彎曲結腸,横行結腸左側,横行結腸右側,回盲部,上行結腸と順次結腸の授動を終えた後,最後に骨盤操作を行う.肛門操作では,直腸粘膜を歯状線より全周性に切開し,粘膜抜去を開始する.直腸断端の粘膜を縫合閉鎖の後にGel POINT Pathを留置し内視鏡下での操作に入る.粘膜抜去は肛門管上縁を越えるまで行い,肛門管内の内括約筋を確実に温存する.肛門管上縁を越えたら直腸の内輪筋・外縦筋を切開しTMEの層に入る.頭側へ向けてTMEを行い,腹腔操作の剥離層とつなげる.
【結果】男性20例,女性12例,年齢の中央値は36歳(18-82)であった.緊急手術は9例(28.1%)であり,IPAAが26例(81.2%),永久人工肛門造設が6例(18.7%)に施行された.手術時間(中央値)は313分(189-483),出血量(中央値)は77ml(0-380)であった.Clavien-Dindo分類grade IIの術後合併症を7例(21.8%),grade IIIの合併症を3例(9.3%)に認めた.術後在院日数の中央値は8日(6-27日)であった.
【結語】 TAMIPは手術時間短縮に有用であり,短期成績は比較的良好であった.