講演情報

[P8-1-2]局所進行大腸癌に対する内視鏡下骨盤臓器合併切除におけるロボット支援手術の有用性

真鍋 達也, 武居 晋, 平木 将紹, 能城 浩和 (佐賀大学医学部一般・消化器外科)
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(はじめに)ロボット支援手術は,鉗子が直線的である通常内視鏡手術が苦手とされる高度肥満や狭骨盤の男性に対して有用性が示されている.骨盤周囲臓器浸潤大腸癌に対してもロボット支援手術は関節機能により多方向からのアプローチと縫合操作が容易になるため,特に尿路や肛門などの臓器温存を図る場合に有用と考えている.今回,骨盤臓器合併切除におけるロボット支援手術の短期成績を提示し,そのメリットを考察する.
 (対象)2017年以降当科で施行した部分切除を除くロボット支援他臓器合併直腸切除を行った11例を対象とした.使用機器はdaVinci SiもしくはXi.膀胱・前立腺全摘+直腸切断2例,子宮(±膣)合切+直腸切除3例,前立腺全摘・直腸切断術3例,膀胱・前立腺全摘+低位前方切除3例.術前治療は全身化学療法6例,化学放射線療法(CRT)1例,Total neoadjuvant therapy(TNT)2例であった.
 (結果)平均手術時間725分(348-974),平均コンソール時間411分(298-590),平均出血量537g(0-1554),Clavien-Dindou Grade3以上の合併症1例(骨盤死腔炎),Grade2以上は4例,在院期間中央値は24日(10-40)であった.手術操作においてはDual consoleを用いて診療科間でスムースに行うことが可能であった.直腸温存症例(DST再建)においては,通常内視鏡手術では困難と思われる関節を用いた「前立腺尖部からの直腸前壁剥離」や「腹腔側からの前立腺・直腸前壁剥離」が可能であった.また,尿路温存時の膀胱尿道吻合はスムースに行え,縫合不全1例を除く2例では禁制は比較的良好であった.
 (まとめ)関節機能によりロボット支援手術は臓器温存を伴う骨盤臓器合併切除において有用であると思われるが,機能面を含めて今後の検討が必要である.