講演情報
[O2-5]潰瘍性大腸炎手術症例におけるNLRおよびPNIの臨床的意義に関する検討
小川 真平, 二木 了, 谷 公孝, 番場 嘉子, 金子 由香, 腰野 蔵人, 前田 文, 板橋 道朗, 山口 茂樹 (東京女子医科大学消化器・一般外科)
【背景・目的】様々な癌腫に対する予後や術後合併症の予測因子として炎症マーカーや栄養指標の有用性が報告されている.今回,潰瘍性大腸炎(UC)手術症例におけるNLRおよびPNIの臨床的意義について検討する.
【対象・方法】UC手術症例180例を対象とした.Neutrophil-to-lymphocyte ratio(NLR),prognostic nutritional index(PNI)を中央値以上のhigh群と中央値未満のlow群に分類し臨床病理学的因子との比較からUC手術症例におけるNLRおよびPNIの臨床的意義について検討した.
【結果】NLRおよびPNIの中央値は3.52および40.1であった.年齢別では高齢者(≧60)の41例中20例(48.8%)がNLR high,28例(68.3%)がPNI lowであり,NLRでは差を認めなかったがPNI lowは非高齢者(<60)に比べ有意に多かった.一方,高齢者の発症時期別の比較では高齢発症群の25例中16例(64.0%)がNLR high,22例(88.0%)がPNI lowで,いずれも有意に多かった.併存症およびASAは併存症有のうち59例(59.6%),ASA(3or4)のうち29例(80.6%)がPNI lowで有意に多かったがNLRでは差がなかった.緊急手術例は36例で,このうち31例(86.1%)がNLR high,34例(94.4%)がPNI lowであり待機手術例に比べ有意に多かった.手術適応別では大腸穿孔,大量出血,中毒性巨大結腸症および重症例は39例中30例(76.9%)がNLR high,34例(87.2%)がPNI lowで有意に多かった.CD≧3の術後合併症はNLR highのうち25例(27.8%),NLR lowのうち26例(28.9%),PNI highのうち27例(30.0%),PNI lowのうち24例(27.0%)で認められれたが差はなかった.同様に高齢者全体でも合併症率に差はなかったが,このうち高齢発症群では合併症があった4例のうち3例がNLR high,4例がPNI lowであった.
【まとめ】NLR high群およびPNI low群は高齢者のうち高齢発症例,緊急手術例,重症例に多かった.また,併存症有およびASA(3or4)はPNI low群で多かった.CD≧3の術後合併症率はNLRおよびPNIのhighとlowの間に全体では差はないが,高齢発症群で合併症があった4例のうち3例がNLR high,4例がPNI lowであった.NLRおよびPNIはUC手術症例の病状や重症度と関連し,高齢発症群の術後合併症の予測因子になる可能性が考えられた.
【対象・方法】UC手術症例180例を対象とした.Neutrophil-to-lymphocyte ratio(NLR),prognostic nutritional index(PNI)を中央値以上のhigh群と中央値未満のlow群に分類し臨床病理学的因子との比較からUC手術症例におけるNLRおよびPNIの臨床的意義について検討した.
【結果】NLRおよびPNIの中央値は3.52および40.1であった.年齢別では高齢者(≧60)の41例中20例(48.8%)がNLR high,28例(68.3%)がPNI lowであり,NLRでは差を認めなかったがPNI lowは非高齢者(<60)に比べ有意に多かった.一方,高齢者の発症時期別の比較では高齢発症群の25例中16例(64.0%)がNLR high,22例(88.0%)がPNI lowで,いずれも有意に多かった.併存症およびASAは併存症有のうち59例(59.6%),ASA(3or4)のうち29例(80.6%)がPNI lowで有意に多かったがNLRでは差がなかった.緊急手術例は36例で,このうち31例(86.1%)がNLR high,34例(94.4%)がPNI lowであり待機手術例に比べ有意に多かった.手術適応別では大腸穿孔,大量出血,中毒性巨大結腸症および重症例は39例中30例(76.9%)がNLR high,34例(87.2%)がPNI lowで有意に多かった.CD≧3の術後合併症はNLR highのうち25例(27.8%),NLR lowのうち26例(28.9%),PNI highのうち27例(30.0%),PNI lowのうち24例(27.0%)で認められれたが差はなかった.同様に高齢者全体でも合併症率に差はなかったが,このうち高齢発症群では合併症があった4例のうち3例がNLR high,4例がPNI lowであった.
【まとめ】NLR high群およびPNI low群は高齢者のうち高齢発症例,緊急手術例,重症例に多かった.また,併存症有およびASA(3or4)はPNI low群で多かった.CD≧3の術後合併症率はNLRおよびPNIのhighとlowの間に全体では差はないが,高齢発症群で合併症があった4例のうち3例がNLR high,4例がPNI lowであった.NLRおよびPNIはUC手術症例の病状や重症度と関連し,高齢発症群の術後合併症の予測因子になる可能性が考えられた.