講演情報
[P9-1-8]消化管出血を契機に診断された小腸GISTの一例
中林 瑠美, 工代 哲也, 新谷 裕美子, 操 佑樹, 井上 英美, 大城 泰平, 西尾 梨沙, 古川 聡美, 岡本 欣也, 山名 哲郎 (東京山手メディカルセンター)
【緒言】小腸原性のGastrointestinal Stromal Tumor(GIST)は稀な疾患であり,その頻度はGIST全体の20%,小腸腫瘍の14%程度である.今回我々は,出血性ショックを伴う消化管出血で明らかになった巨大小腸腫瘍に対し動脈塞栓術を施行後に準緊急で手術を行い,術後に小腸GISTと診断された症例を経験したので報告する.
【症例】症例は40歳代男性.来院5日前に他院で痔瘻根治術を行った.来院当日血便を伴う意識消失があり当院へ救急搬送された.来院時,出血性ショックの状態で,肛門診察で痔瘻の創部から出血は認めないものの口側から大量の血便の流出を認めた.血液検査でHgb 6.4 g/dLと貧血を認め,腹部造影CTでは遠位回腸の内腔と接する15x10x8cm大の多血性腫瘤を認めた.内部に出血と考えられる低濃度領域あり,小腸腫瘍からの出血が疑われた.大量輸血を含めた全身管理を行なった上,責任血管である回結腸動脈分岐の塞栓術を施行した.その後貧血の進行は緩徐化し,入院3日目に準緊急で手術を企画した.手術所見では遠位回腸の腸間膜対側に腸管内と交通する15x10cm大の平滑・軟な腫瘍を認めた.腫瘍を含めた回腸部分切除術を行い,腫瘍が膀胱へ付着していたため膀胱部分切除術も追加した.病理組織検査でGISTと診断された.術後経過は良好で術後14日目に退院した.
【考察】 消化管出血を契機に診断に至る小腸GISTは稀であり,医学中央雑誌で2001年以降26年間の検索では19例の報告がある.最大径の平均は6.9cmで,最大のものは今症例と同様15cmの1例のみであった.今症例のように巨大化するまで症状を呈しないのは極めて稀である.
【結語】消化管出血を契機に発見された小腸GISTに対し動脈塞栓術を先行のうえ準緊急手術を行なった.過去の多くの報告と異なり巨大化するまで症状を呈しなかった症例であり,文献的考察を加えて報告する.
【症例】症例は40歳代男性.来院5日前に他院で痔瘻根治術を行った.来院当日血便を伴う意識消失があり当院へ救急搬送された.来院時,出血性ショックの状態で,肛門診察で痔瘻の創部から出血は認めないものの口側から大量の血便の流出を認めた.血液検査でHgb 6.4 g/dLと貧血を認め,腹部造影CTでは遠位回腸の内腔と接する15x10x8cm大の多血性腫瘤を認めた.内部に出血と考えられる低濃度領域あり,小腸腫瘍からの出血が疑われた.大量輸血を含めた全身管理を行なった上,責任血管である回結腸動脈分岐の塞栓術を施行した.その後貧血の進行は緩徐化し,入院3日目に準緊急で手術を企画した.手術所見では遠位回腸の腸間膜対側に腸管内と交通する15x10cm大の平滑・軟な腫瘍を認めた.腫瘍を含めた回腸部分切除術を行い,腫瘍が膀胱へ付着していたため膀胱部分切除術も追加した.病理組織検査でGISTと診断された.術後経過は良好で術後14日目に退院した.
【考察】 消化管出血を契機に診断に至る小腸GISTは稀であり,医学中央雑誌で2001年以降26年間の検索では19例の報告がある.最大径の平均は6.9cmで,最大のものは今症例と同様15cmの1例のみであった.今症例のように巨大化するまで症状を呈しないのは極めて稀である.
【結語】消化管出血を契機に発見された小腸GISTに対し動脈塞栓術を先行のうえ準緊急手術を行なった.過去の多くの報告と異なり巨大化するまで症状を呈しなかった症例であり,文献的考察を加えて報告する.