講演情報

[P20-1-3]進行大腸癌症例に対して施行した腹腔鏡下回腸人工肛門造設術の検討

今岡 裕基1, 嶌村 麻生2, 家城 英治2, 水野 成2, 山下 真司2, 市川 崇1, 浦谷 亮2, 北嶋 貴仁3, 志村 匡信2, 川村 幹雄2, 安田 裕美2, 奥川 喜永3, 吉山 繁幸2, 大北 喜基2, 大井 正貴2, 問山 裕二1,2 (1.三重大学大学院医学系研究科先端的外科技術開発学, 2.三重大学大学院医学系研究科消化管・小児外科学, 3.三重大学病院ゲノム診療科)
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【目的】化学療法導入が考慮される局所進行大腸癌およびTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)導入が望まれるが,狭窄や出血,排便障害等の症状を認めている局所進行下部直腸癌に対して,当科では腹腔鏡下に人工肛門造設を行っている.造設後の根治手術や,人工肛門閉鎖時の利便性を考慮し,回腸人工肛門造設を行う症例が多い.当科における腹腔鏡下回腸人工肛門造設術の短期成績から,その有用性について検討した.
【方法】2021年1月から2023年12月までに腹腔鏡下回腸人工肛門造設術を施行した14例において,手術時間,出血量,術後合併症などについて検討した.
【手術】人工肛門造設部位はいずれも回腸(末端部からおよそ30cm口側)で造設している.右下腹部のストマサイトマーキング部においてストマ孔を作成し,ウーンドリトラクター(XS)を創縁に装着して,5mmポートを2個留置したフリーアクセスをウーンドリトラクターに装着して使用する.5mm径のスコープを用いて腹腔内を広く観察を行った後,回腸末端部を確認して鉗子で把持し,そのまま吊り上げて気腹操作を終了する.型の如くループ式回腸人工肛門の造設を行い,手術を終了としている.
【結果】手術時間は平均32分,出血量は少量であった.いずれも術後合併症やストマトラブルは認めていない.
【結語】腹腔鏡下人工肛門造設術は良好な視野のもと原発巣や腹腔内観察が可能であり,回腸人工肛門でも管理に難渋しないストマを造設することが可能であった.術後合併症も少なく,創もストマ孔だけであることから術後の回復も早く,速やかに後治療に移行することができることから,有用な術式であると考えられた.