講演情報
[P7-2-5]高齢者潰瘍性大腸炎の腹腔鏡手術の治療成績
佐藤 雄, 大城 崇司, 若松 高太郎, 佐藤 礼実, 門屋 健吾, 鍋倉 大樹, 森山 雄貴, 北原 夏美, 土屋 勝 (東邦大学医療センター佐倉病院外科)
【目的】高齢の潰瘍性大腸炎患者における腹腔鏡手術の治療成績を明らかにすること.【対象と方法】2008年1月から2023年6月までに当院で施行された潰瘍性大腸炎手術195例のうち,3期分割手術を除いた腹腔鏡下大腸全摘術の連続146例を対象とした.手術時年齢が65歳未満と65歳以上の2群に分けて,短期手術成績について後方視的に比較検討した.【結果】65歳以上は46例で全体の31.5%であった.手術適応は癌/dysplasiaが10例(21.7%)で,緊急手術は13例(28.3%)であった.手術術式は回腸嚢手術が10例(21.7%),永久回腸人工肛門造設が36例(78.3%)で,65歳未満群の80例(80.0%)と比較して回腸嚢手術の割合が有意に低かった(P<0.001).また,65歳以上群では回腸嚢手術の半数が回腸嚢肛門管吻合であり,65歳未満群の12例(15.0%)と比較してその割合は有意に高かった(P=0.008).術前PNIは65歳以上群で有意に低値であった(40.6 vs. 34.3,P<0.001).手術時間は332分,出血量は77.5mLであり,65歳未満群のそれぞれ347.5分,63.5mLと差はなかった.Clavien-Dindo分類Grade III以上の術後合併症は12例(26.1%)で,65歳未満群の25例(25.0%)と比較してその発生頻度に差はなかったものの,術後在院日数については65歳以上群で有意に長かった(21日 vs. 27日,P=0.010).術後死亡は1例(2.2%)であった.【結論】高齢者潰瘍性大腸炎における腹腔鏡手術は,非高齢者とほぼ同等の手術成績であったが,術後在院日数については長かった.