講演情報
[PD1-6]術後排便機能障害の短期・長期的成績からみたISRの適応とLARS診療のあり方
秋月 恵美1,2, 奥谷 浩一2, 野田 愛2, 三代 雅明2, 石井 雅之2, 三浦 亮2, 市原 もも子2, 豊田 真帆2, 岡本 行平2, 石山 元太郎1, 竹政 伊知朗2 (1.札幌いしやまクリニック, 2.札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科)
【背景】括約筋間直腸切除術(ISR)によって技術的に肛門温存が可能な症例は増加した.一方でISR後の排便機能障害(LARS)による術後QoL低下は本術式の大きな課題であり,根治性だけでなく機能温存の面からも本術式の適応判断や術後診療を行うことが求められる.
当科では術前は排便外来でLARSに関する情報提供,術後は定期的な排便外来診察を継続し,(ストマ閉鎖後)1,3,6,9,12,18か月にLARS評価(LARS score,CCIS,mFIQL)と肛門内圧測定を施行している.術後2-5年は希望患者に同様に年1回のスコア評価と肛門内圧測定を行っている.当科症例を後方視的に解析し,ISR後のLARS短期・長期成績からISRの適応とLARS診療のあり方を検討した.
【方法】2017 -2023年の下部直腸腫瘍手術491例中,ISRは131例,うちストマ閉鎖を実施しデータ収集が可能であった116例を解析した.
【結果】
年齢の中央値は64歳,男/女:77/40例,うち直腸癌は108例,cStage I/II/III/IV:40/47/18/3であった.
観察期間の中央値は24ヶ月(3-60ヶ月),LARS score中央値は術前:11,術後1/3/6/9/12/18M:41/36/34/34/31/33,術後2/3/4/5Y:32.5/36/34/29,major LARS(%)は術後1/3/6/9/12M:92/78/69/65/60であった.
経過中にLARSが原因で永久人工肛門を造設した症例は1例(再発・化学療法に伴う下痢による排便コントロール困難).
術後1年で重度のQoL障害を伴うmajor LARSと外来担当医が判断しSNMを提案した症例は14例,全例でSNMは希望しなかった.また術後1年に「永久人工肛門を希望するか」と質問したところ全例が「いいえ」と回答した.
【考察】ISR術後12か月で4割がminor LARSまで改善を認めた.長期経過はフォロー希望者のみを対象としており,選択バイアスが大きいデータとなった可能性がある.
【まとめ】
定期的な排便外来とLARS診療を継続できる体制が整っていれば,ISR術後のLARSは許容範囲内である.
当科では術前は排便外来でLARSに関する情報提供,術後は定期的な排便外来診察を継続し,(ストマ閉鎖後)1,3,6,9,12,18か月にLARS評価(LARS score,CCIS,mFIQL)と肛門内圧測定を施行している.術後2-5年は希望患者に同様に年1回のスコア評価と肛門内圧測定を行っている.当科症例を後方視的に解析し,ISR後のLARS短期・長期成績からISRの適応とLARS診療のあり方を検討した.
【方法】2017 -2023年の下部直腸腫瘍手術491例中,ISRは131例,うちストマ閉鎖を実施しデータ収集が可能であった116例を解析した.
【結果】
年齢の中央値は64歳,男/女:77/40例,うち直腸癌は108例,cStage I/II/III/IV:40/47/18/3であった.
観察期間の中央値は24ヶ月(3-60ヶ月),LARS score中央値は術前:11,術後1/3/6/9/12/18M:41/36/34/34/31/33,術後2/3/4/5Y:32.5/36/34/29,major LARS(%)は術後1/3/6/9/12M:92/78/69/65/60であった.
経過中にLARSが原因で永久人工肛門を造設した症例は1例(再発・化学療法に伴う下痢による排便コントロール困難).
術後1年で重度のQoL障害を伴うmajor LARSと外来担当医が判断しSNMを提案した症例は14例,全例でSNMは希望しなかった.また術後1年に「永久人工肛門を希望するか」と質問したところ全例が「いいえ」と回答した.
【考察】ISR術後12か月で4割がminor LARSまで改善を認めた.長期経過はフォロー希望者のみを対象としており,選択バイアスが大きいデータとなった可能性がある.
【まとめ】
定期的な排便外来とLARS診療を継続できる体制が整っていれば,ISR術後のLARSは許容範囲内である.