講演情報

[R14-3]高齢・超高齢ストーマ造設患者の問題点と早期退院に向けたチーム医療

遠藤 俊吾, 五十畑 則之, 中島 勇貴, 愛澤 正人, 冨樫 一智 (福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科)
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【目的】当院の医療圏は65歳以上高齢者率が30~60%で,全国平均(29.1%)を上回っている.高齢者の比率が高い中で,2020年~2022年のDPC統計の「結腸の悪性腫瘍,腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術有」で,在院日数が全国で11,12,6番目に短い結果を達成した.今回は高齢ストーマ造設患者の問題点とストーマ造設患者の早期退院を目指したチーム医療について報告する.
【方法】2013年5月~2024年2月の当院での大腸癌に対するストーマ造設例は95例で,65歳以上の割合は68.4%,80歳以上は21.1%であった.ストーマ造設の可能性のある大腸癌患者には入院前に患者支援センター(看護師,認定看護師,社会福祉士,事務職で構成)で,入院生活や術後の生活を想定した医療サービスの説明,身障者手帳の説明,皮膚・排泄ケア認定看護師によるストーマのオリエンテーションを行っている.ストーマ造設患者の術後には支援センター看護師と病棟看護師が,セルフケア指導,訪問看護やデイサービスなどの退院調整を行っている.
【成績】80歳以上の超高齢者20例は,男女比は11:9,年齢は80~92歳,原発巣切除・非切除(ストーマ造設のみ)が10:10例,術式はAPR 7例,Hartmann 3例,結腸瘻 10例で,術後在院日数の中央値は13(1-26)日であった.退院先は自宅14例,死亡退院2例,緩和病棟2例,他病院2例で,自宅への退院割合は70%であった.65~79歳までの高齢者45例をみると,男女比は28:17,切除:非切除が28:17例,術後在院日数は中央値15(7-62)日と差はなく,自宅への退院割合41/45例(91.1%)が高い傾向であった(p=0.0570).なお,ストーマケアに不安がある症例には認定・病棟看護師による退院後訪問も行っている.
【結論】超高齢のストーマ造設患者には非切除例が多く,自宅への退院割合が低い傾向であった.こうした状況の中でも,当院で行っている術前後のチーム医療はストーマ造設患者の早期退院に寄与している.