講演情報

[O4-1]ロボット支援直腸癌切除において助手ポートからカメラを入れてインストゥルメントを挿入するメリット

陳 開, 茂木 はるか, 栗原 由騎, 山田 修平, 新保 知規, 菊地 功, 若林 俊樹, 佐藤 勤 (市立秋田総合病院消化器外科)
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【背景】ロボット支援直腸癌手術のインストゥルメント挿入は時間を要したり,他臓器損傷のリスクがある.従来ロボットアームにすべてのインストゥルメントを装着した状態でロボットアームを動かし挿入する.そのため,ロボットアームの制限下でインストゥルメントを挿入せざるを得ず,視野が悪いうえに操作性も悪い.新たな手法として助手ポートに8mmや12mmポートを用いた場合,助手ポートからカメラを入れることで,インストゥルメント挿入の時間短縮と安全な挿入が可能となった.従来の方法と助手ポートからカメラを入れる新たな方法を比較した動画を供覧しながら報告する.
 【目的】インストゥルメントの挿入に要した時間を従来の方法と助手ポートからカメラを入れる新たな方法で比較する.
 【方法】当院のロボット直腸癌手術のポート配置は右下腹部,臍右,臍,左上腹部の4ポートが一直線となり,助手ポートが右上腹部に位置する.従来の方法はインストゥルメントを挿入する際,4つのアームにすべてインストゥルメントを装着した状態でカメラのアームを動かしながら,残りの3つのインストゥルメントを1つの視野に収まるように誘導する.新たな方法は助手ポートに8mmまたは12mmポートを用いて,助手ポートからカメラを入れ,残りの3つのインストゥルメントを挿入し1つの視野に収まるように誘導する.
 【結果】インストゥルメントの挿入において,従来の方法は2分53秒要し,助手ポートからカメラを入れる新たな方法では57秒要し,1分56秒の短縮が可能だった.また新たな方法の場合はブラインドでインストゥルメントを挿入する場面がなくなった.
 【考察】新たな方法で時間短縮を得られた理由は,助手ポートに8mmや12mmポートを用いることで,カメラを助手ポートから挿入可能とし,ロボットアームの制限を受けない点やカメラの操作性が良い点である.また,助手ポートからカメラを入れる事で一直線の4ポート全体を見渡すことができ,ブラインド操作がなくなった.
 【結語】ロボットのセッティングにおいて,助手ポートからカメラを挿入することによりインストゥルメント挿入時間を短縮できるうえ安全に挿入することができた.