講演情報
[P12-2-6]遠隔転移を伴う直腸癌局所再発に対し,手術のメリットはあるか?
宮本 裕士, 日吉 幸晴, 大内 繭子, 小川 克大, 前田 裕斗, 堀野 大智 (熊本大学大学院消化器外科学)
はじめに
直腸癌局所再発に対しては,完全切除が可能であれば,積極的に手術を考慮すべきである反面,高侵襲の手術となる場合が多く,適応には慎重な姿勢が必要である.このような背景の中,遠隔転移を伴う局所再発症例に対する外科的切除の意義は良くわかっていない.今回,遠隔転移を伴う直腸癌局所再発に対し,外科的切除の意義があるか検証することを目的とした.
方法
当院で直腸癌術後局所再発に対し外科的切除を施行した35例中,同時性の遠隔転移を伴っていた7例(遠隔転移あり群)と伴わない28例(遠隔転移なし群)を対象とした.また,直腸癌術後局所再発に対し非外科的治療を施行した29例(非外科的治療群)を併せて対象とし,後ろ向きに治療成績の比較解析を行った.生存成績(全生存期間:OS,無再発生存期間:RFS,局所無再発生存期間:LRFS)について,log-rank検定で比較を行った.
結果
外科的切除を施行した35例について,遠隔転移あり群となし群では,RFS,LRFSにはほとんど差がなく,OSに関しては遠隔転移あり群が有意に短い結果であった(あり群 vs なし群,3年OS:43% vs. 86%,5年OS:28.6% vs. 65.1%,p=0.046).遠隔転移を伴う局所再発例について,外科的切除群7例と非外科的治療群29例ではOSについて,有意差はなかったが,長期生存群が外科的切除群で多い傾向にあった(外科的切除群 vs. 非外科的治療群,OS中央値:29.5か月 vs. 27.8か月,10年OS:28.6% vs. 0%).遠隔転移あり群の内訳は,肺:3例,肝:2例,卵巣:2例であった.経過中に遠隔転移まで治療不可能であった症例が2例あり,2例とも局所再発に対する手術を先行していた.非外科的治療群では,全身化学療法中に局所再発巣の疼痛緩和目的で10例(34%)に(化学)放射線療法が施行された.
結語
遠隔転移を伴う直腸癌局所再発巣に対する外科的切除は,非外科的治療と比較して大きく予後延長には結びつかなかったものの,長期生存が得られた症例も存在した.外科的治療のメリット,デメリットを熟慮し,手術のストラテジーも含め,適応をより厳格にする必要がある.
直腸癌局所再発に対しては,完全切除が可能であれば,積極的に手術を考慮すべきである反面,高侵襲の手術となる場合が多く,適応には慎重な姿勢が必要である.このような背景の中,遠隔転移を伴う局所再発症例に対する外科的切除の意義は良くわかっていない.今回,遠隔転移を伴う直腸癌局所再発に対し,外科的切除の意義があるか検証することを目的とした.
方法
当院で直腸癌術後局所再発に対し外科的切除を施行した35例中,同時性の遠隔転移を伴っていた7例(遠隔転移あり群)と伴わない28例(遠隔転移なし群)を対象とした.また,直腸癌術後局所再発に対し非外科的治療を施行した29例(非外科的治療群)を併せて対象とし,後ろ向きに治療成績の比較解析を行った.生存成績(全生存期間:OS,無再発生存期間:RFS,局所無再発生存期間:LRFS)について,log-rank検定で比較を行った.
結果
外科的切除を施行した35例について,遠隔転移あり群となし群では,RFS,LRFSにはほとんど差がなく,OSに関しては遠隔転移あり群が有意に短い結果であった(あり群 vs なし群,3年OS:43% vs. 86%,5年OS:28.6% vs. 65.1%,p=0.046).遠隔転移を伴う局所再発例について,外科的切除群7例と非外科的治療群29例ではOSについて,有意差はなかったが,長期生存群が外科的切除群で多い傾向にあった(外科的切除群 vs. 非外科的治療群,OS中央値:29.5か月 vs. 27.8か月,10年OS:28.6% vs. 0%).遠隔転移あり群の内訳は,肺:3例,肝:2例,卵巣:2例であった.経過中に遠隔転移まで治療不可能であった症例が2例あり,2例とも局所再発に対する手術を先行していた.非外科的治療群では,全身化学療法中に局所再発巣の疼痛緩和目的で10例(34%)に(化学)放射線療法が施行された.
結語
遠隔転移を伴う直腸癌局所再発巣に対する外科的切除は,非外科的治療と比較して大きく予後延長には結びつかなかったものの,長期生存が得られた症例も存在した.外科的治療のメリット,デメリットを熟慮し,手術のストラテジーも含め,適応をより厳格にする必要がある.