講演情報
[O16-5]原発巣切除及びストマ造設後の大腸癌患者において担癌状態下でのストマ閉鎖術は許容できるか?
藤崎 滋1, 高階 幹1, 富田 凉一1, 櫻井 健一2, 岡村 行泰3 (1.藤崎病院外科, 2.日本歯科大学外科, 3.日本大学消化器外科)
(はじめに)大腸癌切除の際に一時的ストマ造設を行った患者が,担癌状態(転移巣・播種巣の遺残)において,ストマ閉鎖を計画することは許容できるかどうか,かつ抗がん剤投与との兼ね合いを考慮し,どのタイミングで施行すべきかについては不明である.
(対象)過去15年間に,大腸癌切除術時に一時的ストマ造設を行い,その後ストマ閉鎖施行した症例は26例で,ストマ閉鎖について担癌状態で施行した7例をA群,非担癌状態で施行した19例をB群とした.(結果)男女比はA群:6:1,B群:12:7,平均年齢はA群:63,7歳,B群:65.0歳,癌占拠部位はA群:左側大腸が4,右側大腸が2,多発が1,B群:左側大腸が14,右側大腸が3,多発が2.ストマ造設の要因は,A群:大腸癌イレウス5,大腸がんの腹壁浸潤・播種等が2例,B群は大腸癌イレウスが13,covering stomaが5例,大腸がんの腹壁浸潤,播種等が2例.A群は7例全て非治癒切除,B群は1全てが治癒切除.非治癒切除の要因は腹膜播種が4例,肝転移が1例,膀胱浸潤が1例,大動脈周囲リンパ節転移が1例.A群の7例には担がん状態(抗癌化学療法施行中)でのストマ閉鎖が行われ,B群の19例中,術後補助化学療法後のストマ閉鎖が3例に,ストマ閉鎖までの間に抗癌剤投与のなかった症例は16例であった.術式はA群:Hartmann手術が4例,結腸切除・ストマ造設が3例,B群:Hartmann手術が9例,結腸切除・ストマ造設が5例,低位前方切除・covering stomaが5例.原発巣切除からストマ閉鎖までの期間の中央値はA群:10ヶ月,B群:6ヶ月,A群はB群に比してストマ閉鎖までの間隔は有意に長かった.術後合併症は,縫合不全は1例もなく,吻合部狭窄が1例(B群).ストマ閉鎖後1年以内に癌死した症例はなかった(A群のストマ閉鎖後の生存期間の中央値は>31.5ヶ月).(結語)担癌症例のストマ閉鎖術は,非担癌症例に比して施行時期は有意に遅れたが,安全に実施できた.
(対象)過去15年間に,大腸癌切除術時に一時的ストマ造設を行い,その後ストマ閉鎖施行した症例は26例で,ストマ閉鎖について担癌状態で施行した7例をA群,非担癌状態で施行した19例をB群とした.(結果)男女比はA群:6:1,B群:12:7,平均年齢はA群:63,7歳,B群:65.0歳,癌占拠部位はA群:左側大腸が4,右側大腸が2,多発が1,B群:左側大腸が14,右側大腸が3,多発が2.ストマ造設の要因は,A群:大腸癌イレウス5,大腸がんの腹壁浸潤・播種等が2例,B群は大腸癌イレウスが13,covering stomaが5例,大腸がんの腹壁浸潤,播種等が2例.A群は7例全て非治癒切除,B群は1全てが治癒切除.非治癒切除の要因は腹膜播種が4例,肝転移が1例,膀胱浸潤が1例,大動脈周囲リンパ節転移が1例.A群の7例には担がん状態(抗癌化学療法施行中)でのストマ閉鎖が行われ,B群の19例中,術後補助化学療法後のストマ閉鎖が3例に,ストマ閉鎖までの間に抗癌剤投与のなかった症例は16例であった.術式はA群:Hartmann手術が4例,結腸切除・ストマ造設が3例,B群:Hartmann手術が9例,結腸切除・ストマ造設が5例,低位前方切除・covering stomaが5例.原発巣切除からストマ閉鎖までの期間の中央値はA群:10ヶ月,B群:6ヶ月,A群はB群に比してストマ閉鎖までの間隔は有意に長かった.術後合併症は,縫合不全は1例もなく,吻合部狭窄が1例(B群).ストマ閉鎖後1年以内に癌死した症例はなかった(A群のストマ閉鎖後の生存期間の中央値は>31.5ヶ月).(結語)担癌症例のストマ閉鎖術は,非担癌症例に比して施行時期は有意に遅れたが,安全に実施できた.