講演情報
[P17-1-6]免疫チェックポイント阻害剤時代の閉塞性大腸癌治療戦略
高橋 吾郎, 松田 明久, 山田 岳史, 上原 圭, 進士 誠一, 横山 康行, 岩井 拓磨, 宮坂 俊光, 香中 伸太郎, 松井 隆典, 林 光希, 吉田 寛 (日本医科大学消化器外科)
【背景】高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)大腸癌には免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が有効である事が示されている.通常,閉塞性大腸癌に対しては減圧処置後の根治切除が望まれるが,ICI投与により閉塞が解除され安全に根治切除し得た,MSI-H閉塞性大腸癌の2例を報告する.
【症例1】29歳男性.6ヶ月前からの便秘,1ヶ月前から続く嘔気嘔吐精査目的に当科紹介.レントゲン透視下大腸内視鏡検査にて,閉塞性横行結腸癌(tub1)と診断.腹部造影CTでは,腹膜播種による胃壁浸潤も疑われcT4b(胃)N2bM1c1(P1)cStageIVcと診断した.遺伝子検査結果はKRASG12D変異およびMSI-Hであった.治療は,禁食および酸化Mgマグネシウムによる厳重な排便管理下に,Pembrolizumab(Pembro)単剤(1st line,q3w)で治療を開始.2コース終了頃より排便習慣の著明な改善を認め,8コース終了後に,腹腔鏡補助下結腸部分切除(横行結腸,D3郭清)を施行.術後合併症は認めず,術後8日目に退院.病理組織所見は,完全奏功(CR,Grade3)であった.【症例2】58歳男性.排便困難と腹部膨満精査目的に当科紹介.腹部造影CTでは盲腸の拡張を伴う上行結腸の壁肥厚像と所属リンパ節および傍大動脈リンパ節腫大を認めた(cT4aN3M1a(LYM)cStageIVa).遺伝子検査結果はBRAFV600E変異およびMSI-Hであり,禁食管理下にPembroを導入.8コース終了後に施行したPET-CTでは原発巣および傍大動脈リンパ節へのFDG集積は消失たため,根治切除可能と判断し腹腔鏡補助下結腸右半切除術施行(D3郭清).術後合併症は認めず,術後7日目に退院.病理組織所見は,原発巣はCRあり,腸管傍リンパ節に一部腫瘍のviabilityを認め,ypT0N1aM0と診断した.【考察】MSI-H閉塞性大腸腸癌に対しICI投与により,内視鏡的減圧処置および人工肛門回避を回避し安全に根治切除し得た症例を経験した.今後,良好な抗腫瘍効果および有害事象も少ないICI療法は,閉塞性大腸癌の治療戦略において重要な役割を担う事が示唆された.
【症例1】29歳男性.6ヶ月前からの便秘,1ヶ月前から続く嘔気嘔吐精査目的に当科紹介.レントゲン透視下大腸内視鏡検査にて,閉塞性横行結腸癌(tub1)と診断.腹部造影CTでは,腹膜播種による胃壁浸潤も疑われcT4b(胃)N2bM1c1(P1)cStageIVcと診断した.遺伝子検査結果はKRASG12D変異およびMSI-Hであった.治療は,禁食および酸化Mgマグネシウムによる厳重な排便管理下に,Pembrolizumab(Pembro)単剤(1st line,q3w)で治療を開始.2コース終了頃より排便習慣の著明な改善を認め,8コース終了後に,腹腔鏡補助下結腸部分切除(横行結腸,D3郭清)を施行.術後合併症は認めず,術後8日目に退院.病理組織所見は,完全奏功(CR,Grade3)であった.【症例2】58歳男性.排便困難と腹部膨満精査目的に当科紹介.腹部造影CTでは盲腸の拡張を伴う上行結腸の壁肥厚像と所属リンパ節および傍大動脈リンパ節腫大を認めた(cT4aN3M1a(LYM)cStageIVa).遺伝子検査結果はBRAFV600E変異およびMSI-Hであり,禁食管理下にPembroを導入.8コース終了後に施行したPET-CTでは原発巣および傍大動脈リンパ節へのFDG集積は消失たため,根治切除可能と判断し腹腔鏡補助下結腸右半切除術施行(D3郭清).術後合併症は認めず,術後7日目に退院.病理組織所見は,原発巣はCRあり,腸管傍リンパ節に一部腫瘍のviabilityを認め,ypT0N1aM0と診断した.【考察】MSI-H閉塞性大腸腸癌に対しICI投与により,内視鏡的減圧処置および人工肛門回避を回避し安全に根治切除し得た症例を経験した.今後,良好な抗腫瘍効果および有害事象も少ないICI療法は,閉塞性大腸癌の治療戦略において重要な役割を担う事が示唆された.