講演情報
[O13-1]局所進行直腸癌に対する術前治療の臨床病理組織学的効果の検討
富田 祐輔, 茂田 浩平, 大橋 弥貴子, 森田 覚, 清島 亮, 岡林 剛史, 北川 雄光 (慶應義塾大学病院外科学教室)
【背景】大腸癌治療ガイドライン2022年版において,術前化学放射線療法(NACRT)は局所再発リスクの高い直腸癌の場合に弱く推奨されている.本研究は,局所進行直腸癌において術前治療の臨床及び病理組織学的効果について比較,検討することを目的とした.
【方法】2016年~2022年までの期間において,当科で根治手術を施行したcStage II-III直腸癌を対象とした.Primary outcomeを無再発生存期間(RFS)とし,Kaplan Meier曲線とCox回帰分析を用いて統計学的解析を行った.
【結果】対象例は,手術単独群が44例,術前治療群が23例であった.治療開始前の進行度は,手術単独群はcStage IIが21例とIIIが23例;術前治療群は9例と14例であった.根治切除後の病理組織学的検査の結果は,手術単独群はpStage Iが12例,IIが13例,IIIが19例に対し,術前治療群はypStage 0が4例,Iが5例,IIが8例,IIIが6例であった.治療開始前の内視鏡及び画像検査の結果と比較して術前治療によりDown stageが得られたのは15例(65%)であった.一方で,Therapeutic effect gradeは,Grade 1aが4例,1bが5例,2が8例,3が1例であった.術後の再発は,手術単独群で13例,術前治療群は5例に認めた.Kaplan Meier曲線では,Down stageを認めた症例はRFSが延長する傾向が認められたが,Therapeutic effect gradeとRFSに相関は認められなかった.Down stageとTherapeutic effect gradeの関連性について検討したところ,Grade 3の1例ではDown stageを認めたが,Grade 2の8例のうち2例ではDown stageは認められなかった.さらに,Grade 1の9例のうち4例ではDown stageが得られており,臨床的評価に基づいたDown stageと病理組織学評価によるTherapeutic effect gradeの間には相関は認められなかった.下部消化管内視鏡検査での評価を確認したところ,Therapeutic effect grade 1でDown stageが得られた4例では明らかな腫瘍縮小が確認できていたが,Grade 2でDown stageが得られなかった2例では明らかな腫瘍縮小が得られていなかった.
【結語】臨床的評価に基づくDown stageと病理組織学評価であるTherapeutic effect gradeには相関がなく,Down stageが予後と関連している可能性が示唆された.
【方法】2016年~2022年までの期間において,当科で根治手術を施行したcStage II-III直腸癌を対象とした.Primary outcomeを無再発生存期間(RFS)とし,Kaplan Meier曲線とCox回帰分析を用いて統計学的解析を行った.
【結果】対象例は,手術単独群が44例,術前治療群が23例であった.治療開始前の進行度は,手術単独群はcStage IIが21例とIIIが23例;術前治療群は9例と14例であった.根治切除後の病理組織学的検査の結果は,手術単独群はpStage Iが12例,IIが13例,IIIが19例に対し,術前治療群はypStage 0が4例,Iが5例,IIが8例,IIIが6例であった.治療開始前の内視鏡及び画像検査の結果と比較して術前治療によりDown stageが得られたのは15例(65%)であった.一方で,Therapeutic effect gradeは,Grade 1aが4例,1bが5例,2が8例,3が1例であった.術後の再発は,手術単独群で13例,術前治療群は5例に認めた.Kaplan Meier曲線では,Down stageを認めた症例はRFSが延長する傾向が認められたが,Therapeutic effect gradeとRFSに相関は認められなかった.Down stageとTherapeutic effect gradeの関連性について検討したところ,Grade 3の1例ではDown stageを認めたが,Grade 2の8例のうち2例ではDown stageは認められなかった.さらに,Grade 1の9例のうち4例ではDown stageが得られており,臨床的評価に基づいたDown stageと病理組織学評価によるTherapeutic effect gradeの間には相関は認められなかった.下部消化管内視鏡検査での評価を確認したところ,Therapeutic effect grade 1でDown stageが得られた4例では明らかな腫瘍縮小が確認できていたが,Grade 2でDown stageが得られなかった2例では明らかな腫瘍縮小が得られていなかった.
【結語】臨床的評価に基づくDown stageと病理組織学評価であるTherapeutic effect gradeには相関がなく,Down stageが予後と関連している可能性が示唆された.