講演情報
[SY1-3]潰瘍性大腸炎関連腫瘍に対する内視鏡的診断・内視鏡治療の問題点
辰巳 健志1, 小金井 一隆1, 黒木 博介1, 後藤 晃紀1, 中尾 詠一1, 小原 尚1, 齋藤 紗由美1, 木村 英明2, 荒井 勝彦1, 杉田 昭1 (1.横浜市立市民病院炎症性腸疾患科, 2.横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター)
背景:SCENIC 国際コンセンサスで潰瘍性大腸炎(UC)に合併したdysplasiaに対する内視鏡的治療が推奨されたが,潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UC associated neoplasia:UCAN)に対する内視鏡診断は異型度の診断,存在診断が過小評価されることがある.また内視鏡治療を施行した際には同時性腫瘍の見逃しや異時性腫瘍の発生が問題となる.
目的:UCANに対する内視鏡診断,治療の問題点を明らかにする.
対象・方法:検討1;UCANの診断で大腸全摘術を施行した症例で術前内視鏡検査でdysplasiaを認めた153病変(117症例)を対象とし,術前の内視鏡診断と術後病理学的診断を比較検討した.また術前診断しきれなかったUCANの合併率を評価した.
検討2;UCANに対して内視鏡的完全切除(ER)後に大腸全摘術を施行した35症例(断端陽性例は除外)を対象とし,内視鏡的切除後半年以内に大腸全摘術を施行した症例の検体に認められたUCANを同時性腫瘍,半年経過後に認められたUCANを異時性腫瘍と定義し,臨床的特徴を検討した.
結果:検討1;low grade dysplasia(LGD)と術前診断された46病変(37症例)の 術後診断は癌4病変(m:2,sm2),high grade dysplasia(HGD)19病変,LGD17病変,同定不能6病変であった.術前にHGDと診断された107病変(94症例)の術後診断は癌31病変(m:10,sm:14,mp:4,ss-a:3),HGD64病変,LGD6病変,腺腫1病変,同定不能5病変であった.また術前診断が単発のHGDで手術を施行した58例中34例(58.6%)にUCANの多発を認めた.術前診断HGDで手術を施行した80症例のうち42例(52.5%)に術前に診断できなかったUCANを認めた.
検討2;ER後半年以内に手術した23症例のうち,18例に術後の病理学的診断で同時性腫瘍を認め,うち16例は内視鏡切除部と同一区分の大腸に認められた.異時性腫瘍15例の手術までの期間は内視鏡切除後24か月であった.2例は毎年内視鏡検査を施行していたにも関わらず進行癌(stageII,IIIa)で発見された.
結語:UCANの生検も含めた内視鏡的診断は,現状では正確に診断することは困難であり,異時性腫瘍も認めることから本症に対しては大腸全摘術の適応と考えられる.
目的:UCANに対する内視鏡診断,治療の問題点を明らかにする.
対象・方法:検討1;UCANの診断で大腸全摘術を施行した症例で術前内視鏡検査でdysplasiaを認めた153病変(117症例)を対象とし,術前の内視鏡診断と術後病理学的診断を比較検討した.また術前診断しきれなかったUCANの合併率を評価した.
検討2;UCANに対して内視鏡的完全切除(ER)後に大腸全摘術を施行した35症例(断端陽性例は除外)を対象とし,内視鏡的切除後半年以内に大腸全摘術を施行した症例の検体に認められたUCANを同時性腫瘍,半年経過後に認められたUCANを異時性腫瘍と定義し,臨床的特徴を検討した.
結果:検討1;low grade dysplasia(LGD)と術前診断された46病変(37症例)の 術後診断は癌4病変(m:2,sm2),high grade dysplasia(HGD)19病変,LGD17病変,同定不能6病変であった.術前にHGDと診断された107病変(94症例)の術後診断は癌31病変(m:10,sm:14,mp:4,ss-a:3),HGD64病変,LGD6病変,腺腫1病変,同定不能5病変であった.また術前診断が単発のHGDで手術を施行した58例中34例(58.6%)にUCANの多発を認めた.術前診断HGDで手術を施行した80症例のうち42例(52.5%)に術前に診断できなかったUCANを認めた.
検討2;ER後半年以内に手術した23症例のうち,18例に術後の病理学的診断で同時性腫瘍を認め,うち16例は内視鏡切除部と同一区分の大腸に認められた.異時性腫瘍15例の手術までの期間は内視鏡切除後24か月であった.2例は毎年内視鏡検査を施行していたにも関わらず進行癌(stageII,IIIa)で発見された.
結語:UCANの生検も含めた内視鏡的診断は,現状では正確に診断することは困難であり,異時性腫瘍も認めることから本症に対しては大腸全摘術の適応と考えられる.