講演情報
[PD8-2]大腸癌腹膜播種における手術と術後合併症の関係に関する検討:大腸癌研究会プロジェクト研究「大腸癌腹膜播種のGrading」附随研究
豊田 尚潔1, 小澤 平太1, 小林 宏寿2, 固武 健二郎3, 杉原 健一4, 味岡 洋一5 (1.栃木県立がんセンター大腸骨盤外科, 2.帝京大学医学部附属溝口病院外科, 3.佐野市民病院外科, 4.東京科学大学, 5.新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野)
背景
大腸癌腹膜播種は予後不良な病態として知られているが,R0切除が予後改善に寄与することが報告されている.一方で,大腸癌腹膜播種における手術とその術後合併症発生に関する報告は少数である.そこで本研究は同時性腹膜播種を有する大腸癌患者に対する手術における術後合併症発生のリスク因子について検討した.
方法
大腸癌研究会プロジェクト研究「大腸癌腹膜播種のGrading」の多施設前向き観察研究のデータを利用した.2012年10月から2016年12月までの期間に計28施設から集積された症例を対象とした.術前治療症例と虫垂癌症例,HIPEC施行例は除外した.主解析項目を術後合併症の発生として,ロジスティック回帰分析を用いて術後合併症発生のリスク因子を同定した.
結果
計137例が対象となった.症例の内訳は男性78例,女性59例,年齢中央値は67歳であった.同時性腹膜播種を有する137例のうち,55例が腹膜播種単独群(M1c1)であり,82例が腹膜播種以外に他臓器転移も伴う群(M1c2)であった.年齢,性別,PS,BMI,T因子,N因子,P分類,PCIスコア,M1c1/M1c2,腹水の有無,組織型,腫瘍部位,糖尿病の有無,原発巣切除の有無,腹膜播種の切除の有無,手術時間,出血量,腫瘍遺残の有無,の各因子について単変量解析を行ったところ,M1c2と手術時間170分以上が,術後合併症の発生における独立した予後因子であった.(Odds ratio=3.02,95%信頼区間 1.05-8.64,p=0.04およびOR=3.56,95%信頼区間 1.14-11.10,p=0.03).多変量解析でも同様の結果であった.(Odds ratio=3.89,95%信頼区間 1.31-11.51,p=0.01およびOR=4.56,95%信頼区間 1.32-11.51,p=0.01)
結論
本研究の結果から腹膜播種を有する症例においてM1c2と170分以上の長時間手術が術後合併症発生の独立したリスク因子であることが示された.腹膜播種症例に対して手術治療を選択する場合には,その適応について慎重に検討する必要がある.
大腸癌腹膜播種は予後不良な病態として知られているが,R0切除が予後改善に寄与することが報告されている.一方で,大腸癌腹膜播種における手術とその術後合併症発生に関する報告は少数である.そこで本研究は同時性腹膜播種を有する大腸癌患者に対する手術における術後合併症発生のリスク因子について検討した.
方法
大腸癌研究会プロジェクト研究「大腸癌腹膜播種のGrading」の多施設前向き観察研究のデータを利用した.2012年10月から2016年12月までの期間に計28施設から集積された症例を対象とした.術前治療症例と虫垂癌症例,HIPEC施行例は除外した.主解析項目を術後合併症の発生として,ロジスティック回帰分析を用いて術後合併症発生のリスク因子を同定した.
結果
計137例が対象となった.症例の内訳は男性78例,女性59例,年齢中央値は67歳であった.同時性腹膜播種を有する137例のうち,55例が腹膜播種単独群(M1c1)であり,82例が腹膜播種以外に他臓器転移も伴う群(M1c2)であった.年齢,性別,PS,BMI,T因子,N因子,P分類,PCIスコア,M1c1/M1c2,腹水の有無,組織型,腫瘍部位,糖尿病の有無,原発巣切除の有無,腹膜播種の切除の有無,手術時間,出血量,腫瘍遺残の有無,の各因子について単変量解析を行ったところ,M1c2と手術時間170分以上が,術後合併症の発生における独立した予後因子であった.(Odds ratio=3.02,95%信頼区間 1.05-8.64,p=0.04およびOR=3.56,95%信頼区間 1.14-11.10,p=0.03).多変量解析でも同様の結果であった.(Odds ratio=3.89,95%信頼区間 1.31-11.51,p=0.01およびOR=4.56,95%信頼区間 1.32-11.51,p=0.01)
結論
本研究の結果から腹膜播種を有する症例においてM1c2と170分以上の長時間手術が術後合併症発生の独立したリスク因子であることが示された.腹膜播種症例に対して手術治療を選択する場合には,その適応について慎重に検討する必要がある.