講演情報
[P18-2-6]StageII III左側閉塞性大腸癌に対するBridge to surgeryとしてのステント留置群と経肛門イレウス管群の臨床病理学的検討
吉田 公彦1, 鏡 哲1, 山崎 晴子1, 三浦 康之1, 鈴木 孝之1, 金子 奉暁1, 牛込 充則1, 栗原 聰元1, 園部 聡2, 三上 哲夫2, 船橋 公彦1 (1.東邦大学外科学講座一般・消化器外科分野, 2.東邦大学病理学講座)
【背景と目的】
閉塞性大腸癌に対する術前大腸ステントの臨床意義は大きいが,ステントの機械的拡張の影響についての検討は少ない.今回,stageII III左側閉塞性大腸癌に対するBTSとして施行されたステント留置による減圧群(S群)と経肛門イレウス管を使った減圧群(T群)の臨床病理学的所見の比較を行い,ステント留置の安全性および組織学的影響,予後についての検討を目的とした.
【対象と方法】
2000年~2020年に当科で経験した閉塞性大腸癌のうち,右側,StageIVを除いたR0根治切除術施行のStageIIおよびIII大腸癌72例を対象とした.S群(n=39)とT群(n=33)に群別し,後方視的に臨床病理学的因子と予後を比較検討した.
閉塞性大腸癌の定義としては,緊急での減圧処置が持続的に必要なCROSS(Colorectal obstruction scoring system)0-1の症例を対象とした.
【結果】患者背景;男性:女性(45:27),年齢中央値57(年齢幅41-95),Stage II(n=38),Stage III(n=34).S群とT群間で患者背景に統計学的差は認めなかった.臨床病理学的所見は,S群 vsT群で,リンパ管侵襲(10/39,25.6% vs 19/33,57.6%,P<0.01),中等度静脈侵襲(28/39,71.8% vs. 12/33,36.4%,P<0.01),腫瘍径5cm以上(35/39,89.7% vs. 13/33,39.4%,P<0.01),D3郭清(36/39,92.3% vs. 18/33,54.5%,P<0.01),再発(6/39,15.4% vs. 16/33,48.5%,P<0.018)で両群間に有意差を認めた.再発形式はS群に血行性転移が多い傾向に対し,T群に局所再発,播種性転移が多い傾向であった.5年生存率は単変量解析にてT4b,郭清度が予後不良因子であった.減圧法の差ではS群/T群 85.8/68.4%(P=0.0901)と有意差は認めなかったものの,無再発生存率において S群/T群 85.6/58.0%(P=0.0293)と有意差を認めた.
【結語】
ステントによる中長期的な予後はイレウス管群と比較し,有意差はないものの予後良好な傾向にあった.むしろ再発はイレウス管群に多く,ステント群の安全性が示された.
閉塞性大腸癌に対する術前大腸ステントの臨床意義は大きいが,ステントの機械的拡張の影響についての検討は少ない.今回,stageII III左側閉塞性大腸癌に対するBTSとして施行されたステント留置による減圧群(S群)と経肛門イレウス管を使った減圧群(T群)の臨床病理学的所見の比較を行い,ステント留置の安全性および組織学的影響,予後についての検討を目的とした.
【対象と方法】
2000年~2020年に当科で経験した閉塞性大腸癌のうち,右側,StageIVを除いたR0根治切除術施行のStageIIおよびIII大腸癌72例を対象とした.S群(n=39)とT群(n=33)に群別し,後方視的に臨床病理学的因子と予後を比較検討した.
閉塞性大腸癌の定義としては,緊急での減圧処置が持続的に必要なCROSS(Colorectal obstruction scoring system)0-1の症例を対象とした.
【結果】患者背景;男性:女性(45:27),年齢中央値57(年齢幅41-95),Stage II(n=38),Stage III(n=34).S群とT群間で患者背景に統計学的差は認めなかった.臨床病理学的所見は,S群 vsT群で,リンパ管侵襲(10/39,25.6% vs 19/33,57.6%,P<0.01),中等度静脈侵襲(28/39,71.8% vs. 12/33,36.4%,P<0.01),腫瘍径5cm以上(35/39,89.7% vs. 13/33,39.4%,P<0.01),D3郭清(36/39,92.3% vs. 18/33,54.5%,P<0.01),再発(6/39,15.4% vs. 16/33,48.5%,P<0.018)で両群間に有意差を認めた.再発形式はS群に血行性転移が多い傾向に対し,T群に局所再発,播種性転移が多い傾向であった.5年生存率は単変量解析にてT4b,郭清度が予後不良因子であった.減圧法の差ではS群/T群 85.8/68.4%(P=0.0901)と有意差は認めなかったものの,無再発生存率において S群/T群 85.6/58.0%(P=0.0293)と有意差を認めた.
【結語】
ステントによる中長期的な予後はイレウス管群と比較し,有意差はないものの予後良好な傾向にあった.むしろ再発はイレウス管群に多く,ステント群の安全性が示された.