講演情報

[O16-4]安心・確実・簡単で合併症の少ないストーマ造設を目指して当院で行なっている手術手技

古屋 信二, 白石 謙介, 高橋 和徳, 仲山 孝, 滝口 光一, 丸山 傑, 庄田 勝俊, 河口 賀彦, 芦沢 直樹, 齊藤 亮, 中田 祐紀, 中山 裕子, 雨宮 秀武, 川井田 博充, 市川 大輔 (山梨大学医学部外科学講座第1教室)
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ストーマ関連合併症を回避し,管理しやすいストーマを造設するためには,どのような状況下でも安定した手術手技が必要不可欠と考えます.また,ストーマ関連合併症は患者や家族の生活の質を低下させるだけでなく,入院期間の長期化や,がん患者であれば治療の遅れにもつながることが危惧されます.しかし,2024年4月から施行された「医師の働き方改革」関連法もあり,特に緊急手術時などでストーマ造設が必要な症例で(当科では当番制での緊急手術を行なっており)必ずしも下部消化管専門の医師に徴集がかかるわけではありません.そのため,執刀医によって手術手技に差が出やすいストーマ造設に関して,安心・確実・簡単で安定した手技を目指して,当科ではストーマ関連合併症予防の工夫と手技の統一化を行なっています.
 1)腹腔鏡手術の場合は,ストーマ挙上操作時(腹壁切開時)は気腹中止する.
 2)皮膚切開(ストーマ孔)の大きさを規定する(独自開発ストーマスタンプ).
 3)腹直筋経路で筋膜前鞘と腹膜は縦切開する.
 4)腸間膜が自然な形になるように腸管の口側・肛門側の方向に拘らない.
 5)腸管固定糸は,挙上前に腹膜・腹直筋膜前鞘に留置する.
 6)腸管固定部の高さのズレを予防する目的で腸管にペンでマーキングする.
 7)造設終了後はストーマに示指を腸管内に挿入し,抵抗なく腹腔側に入ることを確認する.
 当科では,以上の手技の統一化と器具開発を行い,安心・確実・簡単を目指しています.今回,当科におけるストーマ造設手技の手術動画を供覧するとともに,その有用性とストーマ関連合併症の成績を報告する.