講演情報

[P6-1-2]回腸静脈と下大静脈間のシャントを有する上行結腸癌に対し腹腔鏡補助下回盲部切除を施行した1例

國末 浩範, 松田 直樹, 久保 孝文, 伊達 慶一, 野崎 功雄, 太田 徹哉 (岡山医療センター外科)
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症例は81歳,女性.抗RAS抗体陽性間質性肺炎,皮膚筋炎の疑いで呼吸器内科入院加療中であった.悪性腫瘍除外目的で大腸内視鏡検査施行し,上行結腸に半周性2型大腸癌を指摘され当科紹介となった.CTで回腸静脈と下大静脈間に門脈体循環シャントを認めた.肝・脾に異常は認めなかった.血液検査では肝機能異常を認めず肝炎ウイルスも陰性であった.大腸癌手術に際してはシャント血管の切離は不可避であると判断し慎重に腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.シャント血管は確認しクリッピングし切離した.術中所見では肝硬変を認めた.術後経過は良好で肝機能異常も認めず.第10病日に呼吸器内科に転科した.切離が必要な門脈体循環シャントを有する大腸癌症例に対する手術症例はまれで報告も少ない.肝硬変を有する患者では門脈体循環シャントを念頭に置き手術を施行する必要があると考えられた.