講演情報
[O1-6]直腸癌術後の骨盤内側方再発は切除困難とは限らない
戸田 重夫, 的場 周一郎, 黒柳 洋弥, 冨田 大輔, 呉山 由花, 前田 裕介, 平松 康輔, 福井 雄大, 花岡 裕, 上野 雅資 (虎の門病院消化器外科)
[背景]直腸癌は結腸癌より局所再発が多い.切除困難例が多いが,切除可能であれば治癒しうる.当院では局所再発制御のため,下部直腸癌のcT3,4もしくはcN陽性の症例に術前放射線治療を行い,直径7mm以上の側方リンパ節腫大例には腫大側にのみ側方郭清を行う.手術は鏡視下手術を原則としている.
[目的]当院の局所再発の治療成績を検討し,成績に影響する因子を明らかにする.
[方法]2010年4月から2023年5月の直腸癌手術1960例中の局所再発例を対象とした.初発再発に限らず,経過中の局所再発を全例対象とした.同時性遠隔転移を切除した症例(根治度B)も対象とした.局所再発をその部位で中央,吻合部,側方に分類した.
[結果]局所再発は61例.年齢中央値は63歳,性別は男性41例,女性20例.再発部位は中央20例,吻合部10例,側方36例(重複あり).再発治療は外科切除が32例,化学療法が20例,放射線治療が2例,無治療が7例.手術術式は側方郭清 20例,腸切除 11例(APR 8例+TPE 3例),腫瘍切除 3例(重複あり).部位別の切除率は中央 25%(5/20),吻合部 80%(8/10),側方 61%(22/36).手術時間,出血量の中央値は324分,64ml.術後合併症はC-D Grade2以上が7例,Grade3以上が2例.再発切除後の再発率は46%(15/32).部位別再発率は中央が60%(3/5),吻合部が13%(1/8),側方が54%(12/22)化学療法中の20例中1例に完全寛解が見られた.3年生存率は非切除例で29%に対し,切除例では80%と有意に良好であった.初回手術後と局所再発診断後の観察期間中央値はそれぞれ43か月,24か月であった.
[考察]既報告では側方再発は最も切除困難とされている.しかしながら当院の治療方針による成績では,局所再発は側方再発(特に側方リンパ節再発)が最多であり,切除率は比較的高かった.なお,吻合部再発の切除率が一番高く,中央再発の切除率が一番低かった.再発高リスク群ではCT,MRIを交互に3か月ごとに行っており,そのために側方リンパ節再発も小さく発見でき高率で切除できる可能性がある.
[結語]直腸癌術後の骨盤内側方再発は切除困難とは限らない.
[目的]当院の局所再発の治療成績を検討し,成績に影響する因子を明らかにする.
[方法]2010年4月から2023年5月の直腸癌手術1960例中の局所再発例を対象とした.初発再発に限らず,経過中の局所再発を全例対象とした.同時性遠隔転移を切除した症例(根治度B)も対象とした.局所再発をその部位で中央,吻合部,側方に分類した.
[結果]局所再発は61例.年齢中央値は63歳,性別は男性41例,女性20例.再発部位は中央20例,吻合部10例,側方36例(重複あり).再発治療は外科切除が32例,化学療法が20例,放射線治療が2例,無治療が7例.手術術式は側方郭清 20例,腸切除 11例(APR 8例+TPE 3例),腫瘍切除 3例(重複あり).部位別の切除率は中央 25%(5/20),吻合部 80%(8/10),側方 61%(22/36).手術時間,出血量の中央値は324分,64ml.術後合併症はC-D Grade2以上が7例,Grade3以上が2例.再発切除後の再発率は46%(15/32).部位別再発率は中央が60%(3/5),吻合部が13%(1/8),側方が54%(12/22)化学療法中の20例中1例に完全寛解が見られた.3年生存率は非切除例で29%に対し,切除例では80%と有意に良好であった.初回手術後と局所再発診断後の観察期間中央値はそれぞれ43か月,24か月であった.
[考察]既報告では側方再発は最も切除困難とされている.しかしながら当院の治療方針による成績では,局所再発は側方再発(特に側方リンパ節再発)が最多であり,切除率は比較的高かった.なお,吻合部再発の切除率が一番高く,中央再発の切除率が一番低かった.再発高リスク群ではCT,MRIを交互に3か月ごとに行っており,そのために側方リンパ節再発も小さく発見でき高率で切除できる可能性がある.
[結語]直腸癌術後の骨盤内側方再発は切除困難とは限らない.