講演情報

[SR2-4]当院における結腸体腔内吻合の短期・長期成績とロボット手術の有用性

福岡 達成, 笠島 裕明, 丹田 秀樹, 米光 健, 福井 康裕, 関 由季, 三木 友一朗, 吉井 真美, 田村 達郎, 澁谷 雅常, 豊川 貴弘, 李 栄柱, 前田 清 (大阪公立大学大学院消化器外科学)
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はじめに
結腸癌における体腔内吻合は多くの施設で導入されているが,利点についてはいまだ不明瞭な点も多い.今回我々は体腔内吻合の有用性を検討するため,短期・長期成績について従来の体腔外吻合との比較検討を行った.
吻合手技
当院では2018年より体腔内吻合を導入し,2022年よりロボット手術にも導入している.吻合方法はOverlap法もしくはFEEA法で挿入孔は手縫いで閉鎖を行っている.
対象
2018年から2023年までに大腸癌に対して鏡視下結腸切除術を施行した症例144例を対象にして,体腔内吻合症例(IA群)60例(腹腔鏡群(LIA)33例,ロボット群(RIA)27例)と体腔外吻合症例(EA群)84例の短期・長期成績についてpropensity score matching(以下PSM)を用いて比較検討を行った.
結果
症例は男性105例女性39例,病変部位はC:A:T:D:S=33:65:33:10:3であった.手術時間はLIA群で最も長く,EA群が最も短かった.体腔内吻合時間はRIA群でLIA群に比し有意に短かった.RIA群はLIA群,EA群に比べ出血量が有意に少なかった.術後合併症はRIA群が有意に少なく,縫合不全はRIA群0例,LIA群1例,EA群2例であった.さらに年齢,性別,BMI,病変部位,Stageを共変量としてPSMを行い,IA群54例,EA群54例を抽出した.IA群は手術時間が有意に長いが,術後合併症が少なく,術後初回排便,術後在院日数が有意に短かった.術後再発はEA群3例,IA群1例に認め,長期予後に有意な差は認めなかった.
考察
体腔内吻合は体腔外吻合に比べ,手術時間が長くなるが,長期予後に差はなく,術後の消化管蠕動の回復が有意に早く,術後在院日数が短かった.体腔内吻合においてロボット手術は腹腔鏡手術に比べ手術時間を短縮し,有用であると考えられた.