講演情報

[O4-6]助手ステープラーを用いて行うロボット支援結腸切除術の体腔内吻合

渡部 かをり, 高橋 広城, 浅井 宏之, 上原 崇平, 加藤 瑛, 藤井 善章, 牛込 創, 鈴木 卓弥, 小川 了, 松尾 洋一, 三井 章, 瀧口 修司 (名古屋市立大学病院消化器外科)
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【はじめに】ロボット支援結腸切除術において体腔内吻合は,体腔外吻合と比べてポート配置などに工夫は必要なものの,授動範囲の縮小や牽引による副損傷リスク軽減,創の縮小による創部痛の軽減などから普及しつつあり,当科では積極的に体腔内overlap吻合を行っている.用いる自動縫合器については,当初はda Vinciのみでありロボットステープラーでの吻合から開始したが,hinotoriを用いた結腸切除症例が2023年3月以降増えてきており,助手が操作するステープラーでの体腔内吻合手技も定型化されつつある.
【手技】体腔内吻合を行う症例は全例,術前に機械的・化学的前処置を行っており,狭窄・閉塞を伴う症例は除外している.郭清,腸管授動後,腸間膜を処理し,ICGテストにて血流評価を行った後に自動縫合器で腸管を切離する.順蠕動となるように腸管軸を合わせ,肛門側は断端から約8cmの部分,口側は断端に小孔をあけ,助手ポートから60mmの自動吻合器を挿入し腸間膜対側同士で側々吻合を行う.術者は腸管軸合わせや誘導など場の展開に注力する.挿入口は数針の糸で仮閉鎖した後に自動縫合器で閉鎖する.標本は回収バッグで摘出し,温生食3Lで腹腔内を洗浄する.
【結果】2022年1月から2024年4月までに当科で施行されたロボット支援結腸切除術で,体腔内overlap吻合を施行した70例(da Vinci55例/hinotori15例,ロボットステープラー26例/助手ステープラー44例)の短期成績を報告する.患者背景の内訳は年齢中央値74(46-93)歳,性別は男性34例/女性36例,BMI 23.2(16.8-35.4)kg/m2,術式(右側結腸切除55例/横行結腸切除4例/左側結腸切除11例)であった.短期成績は手術時間279(177-623)分,出血量27(2-413)ml,開腹移行例はなく,ロボットステープラー群と助手ステープラー群の比較においても特に有意差を認めなかった.Clavien-Dindo分類III以上の合併症は縫合不全とポートサイトヘルニアの2例(2.9%)であった.
【結語】ロボット支援結腸切除術における体腔内overlap吻合は,助手ステープラーを用いても安全に施行可能であった.今後増えていく多様な手術支援ロボットに適応するための手技の一つとして工夫を重ねていく必要がある.