講演情報

[R7-2]高齢者進行・再発大腸癌におけるFOLFOXIRI+bevacizumab治療の有用性について

沼田 幸司1,2, 小野 由香利1, 井口 健太1, 内山 護1,2, 淺利 昌大1, 湯川 寛夫2, 齋藤 綾2, 塩澤 学1 (1.神奈川県立がんセンター消化器外科, 2.横浜市立大学附属病院)
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【背景・目的】進行・再発大腸癌の1st line治療においてFOLFOXIRI+bevacizumab療法(以下,FOLFOXIRI治療)が標準治療の選択肢として使用されるようになっているが,高齢者においてはFOLFOXIRI治療の有用性・安全性は明らかでない.本研究ではFOLFOXIRI治療において若年者と高齢者とを比較し,有効性・安全性について検討した.
【対象と方法】当院で2016-2021年に1st lineとしてFOLFOXIRI+bevacizumab療法を行った進行・再発大腸癌129例を後方視的に検討した.症例のデータについては院内の大腸癌データベースを匿名化したものを用いた.70歳未満の若年者と70歳以上の高齢者とでに無増悪生存期間(PFS),生存期間(OS)について検討し,また奏効率やCTCAEのGrade3以上の副作用の発現状況などについても検討した.
【結果】若年者106人,高齢者23人であった.PFS,OSのいずれにおいても若年者と高齢者とで有意差は認めず(p=0.05,p=0.10),奏効率についてORRは若年者で48.5%,高齢者で57.7%,DCRは若年者で94.2%,高齢者で92.3%であり,こちらも両者に有意差は認めなかった.副作用についてはGrade3,4の好中球減少や発熱性好中球減少が高齢者で多い傾向を認めたが,その他の副作用について有意な差を認めなかった.
【結語】FOLFOXIRI+bevacizumab治療は高齢者では副作用に頻度が高くなる可能性が考えられるが,適応がある症例では有用な選択肢となる可能性が示唆された.