講演情報
[P9-2-3]肛門手術における等比重塩酸ブピバカインの有用性の検討
宮原 悠三1, 有田 宗史1, 下地 信1, 山田 恭子2, 東 博1 (1.宇都宮肛門・胃腸クリニック, 2.山田医院)
肛門領域の手術においては多くの施設で高比重製剤,特に高比重ブピバカインが使用されている.当院ではLSISや肛門ポリープ切除などの日帰り手術で行うような小手術や,ALTA療法のように短時間で肛門の弛緩を解除したい場合は高比重ブピバカインをごく少量使用したサドルブロックを,それ以外の肛門手術には麻酔後すぐに頭低位にでき術中視野も良好であることから,2006年より等比重ブピバカインを使用してきた.今回我々は高比重に比し上記利点のある等比重ブピバカインの肛門手術時の麻酔における有用性を検討した.
【方法】L4-5間を基本穿刺部位とし体位は等比重ブピバカインでは水平右側臥位,高比重ブピバカインでは水平軽度頭高位とし,投与後すぐにジャックナイフ位とした.ブビバカイン投与量は1.5mlで投与速度は0.1ml/secを目標に注入した,術中は脈拍,血圧の変動と術直後の最高痛覚遮断域を確認し,排尿障害に関しては導尿の必要性で検討した.【結果】等比重ブピバカイン使用症例は291例で,血行動態の変動については徐脈を2例(0.69%)に,血圧低下を5例(1.7%)に認めた.一方,高比重ブピバカイン使用症例は110例であり,110例中5例(4.5%)に徐脈,4例(3.6%)に血圧の変動を認め,血行変動全体(p=0.022)及び徐脈発生率(p=0.019)において有意に少なかった.最高痛覚遮断域は等比重ブピバカインではL1の低位までが206例(70.8%),Th10までの中等域が48例(16.5%),Th4までの高位が37例(12.7%)であった一方,高比重ブピバカイン例では低位が95例(86.4%),中等域が10例(9.1%),高位が5例(4.5%)であり,等比重ブピバカイン症例の方が有意に高位まで及んでいた(p=0.004).排尿障害については35例ずつの比較を行ったが,導尿が必要であったのは高比重ブピバカインの9例(25.7%)のみであった(p=0.002).以上より自験例では諸家の報告と異なり等比重ブピバカインは麻酔レベルが高位となったものの血行動態の変動が少なく排尿障害が少ないこと,また麻酔直後から体位変換が可能でかつ術中視野が確保し易い頭低位やTrendelenburg位にすることが可能であることから,特に深部痔瘻などの肛門手術で有用であると考えられた.
【方法】L4-5間を基本穿刺部位とし体位は等比重ブピバカインでは水平右側臥位,高比重ブピバカインでは水平軽度頭高位とし,投与後すぐにジャックナイフ位とした.ブビバカイン投与量は1.5mlで投与速度は0.1ml/secを目標に注入した,術中は脈拍,血圧の変動と術直後の最高痛覚遮断域を確認し,排尿障害に関しては導尿の必要性で検討した.【結果】等比重ブピバカイン使用症例は291例で,血行動態の変動については徐脈を2例(0.69%)に,血圧低下を5例(1.7%)に認めた.一方,高比重ブピバカイン使用症例は110例であり,110例中5例(4.5%)に徐脈,4例(3.6%)に血圧の変動を認め,血行変動全体(p=0.022)及び徐脈発生率(p=0.019)において有意に少なかった.最高痛覚遮断域は等比重ブピバカインではL1の低位までが206例(70.8%),Th10までの中等域が48例(16.5%),Th4までの高位が37例(12.7%)であった一方,高比重ブピバカイン例では低位が95例(86.4%),中等域が10例(9.1%),高位が5例(4.5%)であり,等比重ブピバカイン症例の方が有意に高位まで及んでいた(p=0.004).排尿障害については35例ずつの比較を行ったが,導尿が必要であったのは高比重ブピバカインの9例(25.7%)のみであった(p=0.002).以上より自験例では諸家の報告と異なり等比重ブピバカインは麻酔レベルが高位となったものの血行動態の変動が少なく排尿障害が少ないこと,また麻酔直後から体位変換が可能でかつ術中視野が確保し易い頭低位やTrendelenburg位にすることが可能であることから,特に深部痔瘻などの肛門手術で有用であると考えられた.