講演情報

[P7-2-2]ヤヌスキナーゼ阻害剤を変更した潰瘍性大腸炎2症例

白木 学, 枡 悠太郎, 羽根田 祥, 高橋 賢一 (東北労災病院炎症性腸疾患センター)
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【はじめに】2022年9月からウパダシチニブが潰瘍性大腸炎に対して使用可能となり,現在ヤヌスキナーゼは3剤使用可能となっている.ヤヌスキナーゼ阻害剤は薬剤ごとにヤヌスキナーゼに対する選択性が異なる事が報告されており,症例を蓄積することが薬剤変更による治療上の影響の検討のために重要と思われる.
今回我々は潰瘍性大腸炎患者に対してヤヌスキナーゼ阻害剤を変更し8週以上経過した2例を報告する.
【症例1】20歳男性.20XX年に診断された潰瘍性大腸炎のためステロイド大量投与療法が施行されたが寛解を導入できずインフリキシマブが導入された.インフリキシマブ導入後臨床的に寛解したが導入後54週で効果不十分となり,フィルゴチニブが導入された.フィルゴチニブ導入後再び臨床的に寛解したが,導入後38週で再燃し,部分的Mayoスコア5となった.その後ウパダシチニブに変更となった.ウパダシチニブ投与後症状は軽快し8週目で部分的Mayoスコア1(血便スコア0)と臨床的寛解と判断した.その後臨床的寛解を維持している.
【症例2】34歳男性.20XX年に潰瘍性大腸炎全大腸炎型と診断され,再燃と寛解を繰り返してステロイド依存性と判断され当科に紹介となった.当科では20XX+3年5月にゴリムマブが導入され,その後効果不十分のため,インフリキシマブ,ウステキヌマブが導入された.ウステキヌマブ導入後39週で再燃と判断され,20XX+6年にトファシチニブが導入された.その後1日10mgの維持量で臨床的寛解を維持していたが,経過中度々白血球減少が認められるため,トファシチニブ投与後125週でフィルゴチニブに変更した.その後臨床的寛解を維持している.
【考察】効果不十分な場合や副作用が出現している際に用量,ヤヌスキナーゼ選択性を考慮して変更することは十分検討に値すると思われた.