講演情報
[SR3-4]進行・再発直腸癌に対する骨盤内拡大手術におけるロボット手術の可能性
植村 守1, 楠 誓子1, 大﨑 真央1, 瀧口 暢生1, 北風 雅敏1, 朴 正勝1, 竹田 充伸1, 関戸 悠紀1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 三吉 範克1, 加藤 健志2, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学, 2.国立病院機構大阪医療センター外科)
【背景】
我々は2012年以降,進行/再発直腸癌に対する骨盤内拡大手術に腹腔鏡下手術(Lap)を積極的に導入し,直腸癌局所再発(LRRC)に対するLap手術(全122例)や,Lap-骨盤内臓全摘術(TPE)(全73例)の安全性やLapの有用性に関して報告してきた.2022年度からはロボット手術(Rob)を導入してきた.
【対象・目的】
2022年11月-2024年3月にTPE手術3例(うち陰茎/仙骨合併切除1例),LRRC手術10例(うち仙骨合併切除3例)をロボット支援下に施行した.手術成績検討にはLap(TPE全73例,LRRC全122例)を比較対象とした.
本発表では,骨盤内拡大手術におけるロボット手術手技を供覧し,手技のコツやピットフォールに加え,有用性や安全性に関して言及したい.
【結果/考察】
ロボット骨盤内拡大手術の開始にあたって,通常のロボット支援直腸癌手術の定型化に加えて,2018年以降ロボット支援側方リンパ節郭清を60例に施行し,骨盤内拡大手術の基礎とした.
TPE症例の手術時間に関してはLap-TPE(750min(IQR:639-895min))で,Robotでは2症例がLapのIQR内で,1症例(陰茎/仙骨合併切除症例)では1057minとIQR外であった.術中出血量に関しては,Lap-TPE(260ml(IQR:100-640ml))で,陰茎/仙骨合併切除症例では750mlとLapのIQR外であったが他の2症例ではIQR内であった.
LRRC症例でも同様に,手術時間ではLapとRobのそれぞれで631ml(IQR:493-772)と648ml(IQR:442-770)とでほぼ同等で,出血量では200ml(IQR:71-547)と90ml(IQR:42-142)とで有意差はなかった.また,全症例において,robot手術に起因する術中トラブルや合併症は生じていない.
骨盤内拡大手術に対するLapへの適応拡大においては安全性担保が最重要であり,助手との連携/協調が不可欠であったが,Robotにおいても同様である.安全性が担保されれば,多関節機能を有するロボット鉗子によって,骨盤深部の狭い空間において安定した効率の良い手術操作が可能となる.ロボット手術においても助手の能動的な手術参加は高難度手術には重要な要素であり,出血時のトラブルシューティングには助手の吸引管やソフト凝固による能動的操作が有効であり,手術の安全担保には不可欠と思われる.
我々は2012年以降,進行/再発直腸癌に対する骨盤内拡大手術に腹腔鏡下手術(Lap)を積極的に導入し,直腸癌局所再発(LRRC)に対するLap手術(全122例)や,Lap-骨盤内臓全摘術(TPE)(全73例)の安全性やLapの有用性に関して報告してきた.2022年度からはロボット手術(Rob)を導入してきた.
【対象・目的】
2022年11月-2024年3月にTPE手術3例(うち陰茎/仙骨合併切除1例),LRRC手術10例(うち仙骨合併切除3例)をロボット支援下に施行した.手術成績検討にはLap(TPE全73例,LRRC全122例)を比較対象とした.
本発表では,骨盤内拡大手術におけるロボット手術手技を供覧し,手技のコツやピットフォールに加え,有用性や安全性に関して言及したい.
【結果/考察】
ロボット骨盤内拡大手術の開始にあたって,通常のロボット支援直腸癌手術の定型化に加えて,2018年以降ロボット支援側方リンパ節郭清を60例に施行し,骨盤内拡大手術の基礎とした.
TPE症例の手術時間に関してはLap-TPE(750min(IQR:639-895min))で,Robotでは2症例がLapのIQR内で,1症例(陰茎/仙骨合併切除症例)では1057minとIQR外であった.術中出血量に関しては,Lap-TPE(260ml(IQR:100-640ml))で,陰茎/仙骨合併切除症例では750mlとLapのIQR外であったが他の2症例ではIQR内であった.
LRRC症例でも同様に,手術時間ではLapとRobのそれぞれで631ml(IQR:493-772)と648ml(IQR:442-770)とでほぼ同等で,出血量では200ml(IQR:71-547)と90ml(IQR:42-142)とで有意差はなかった.また,全症例において,robot手術に起因する術中トラブルや合併症は生じていない.
骨盤内拡大手術に対するLapへの適応拡大においては安全性担保が最重要であり,助手との連携/協調が不可欠であったが,Robotにおいても同様である.安全性が担保されれば,多関節機能を有するロボット鉗子によって,骨盤深部の狭い空間において安定した効率の良い手術操作が可能となる.ロボット手術においても助手の能動的な手術参加は高難度手術には重要な要素であり,出血時のトラブルシューティングには助手の吸引管やソフト凝固による能動的操作が有効であり,手術の安全担保には不可欠と思われる.