講演情報
[SR5-5]横行結腸間膜を膵前筋膜と膵後筋膜に挟まれた構造物と認識すれば脾弯曲部横行結腸癌の手術操作は簡略化される
矢野 修也1, 吉松 和彦1, 北川 集士1, 峯田 修明1, 神原 啓伸1, 井上 貴裕1, 重安 邦俊3, 近藤 喜太3, 永坂 岳司2, 上野 富雄1 (1.川崎医科大学消化器外科, 2.川崎医科大学先端腫瘍医学, 3.岡山大学病院低侵襲治療センター)
【緒言】大腸癌のリンパ節郭清はD3郭清を頂点として腸間膜を平面化することが肝要である.横行結腸間膜の平面化が他の場所よりも複雑なのは,横行結腸口側2/3は中腸,肛門側1/3は後腸と発生学的に異なる器官であること,胎生期の上腸間膜動脈(SMA)を軸とした腸回転により,後腸由来横行結腸間膜の前葉は膵前筋膜と癒合し,後葉は膵後筋膜に癒合しながら脾湾曲でちょうど折り畳まれたようになっているからである.さらに後腸は下腸間膜静脈(IMV)が軸となることにも留意する必要がある.
【目的】カダバートレーニング及び実際の手術動画を供覧して,複雑な脾弯曲部横行結腸癌のD3郭清手技を,膵前筋膜と膵後筋膜をメルクマールに単純化を行い定型手術として言語化する.
【手術手技】内側アプローチは,後腸由来の横行結腸間膜が折り畳まれ後腹膜と癒着しているのを剥離する操作である.下行結腸内IMVの背側で腹膜を切開し,下行結腸間膜を後腹膜から授動を頭側・外側に進めると膵臓の背側から膵を授動するようになる.これは,膵後筋膜ごと横行結腸間膜が授動されたサインである.頭側アプローチは中腸由来横行結腸を前腸から解除する操作である.膵下縁で膵前筋膜と膵体部の癒合を切開すると,横行結腸間膜前葉が前腸である膵から解除され間膜が膵後筋膜に乗っている状態となる.IMVの頭側で膵後筋膜を切開すると横行結腸間膜後1/3から下行結腸間膜まで一枚に腸間膜=平面化となる.最後に尾側アプローチは横行結腸間膜基部の郭清を行う操作である.IMVおよび中結腸動脈を頂点とした郭清をするには,中結腸動脈,副中結腸動脈を根部で切離し,IMVを切離した後,肛門側へ向かい任意で下行結腸間膜を切離すれば,脾弯曲部横行結腸癌D3郭清が終了する.
【目的】カダバートレーニング及び実際の手術動画を供覧して,複雑な脾弯曲部横行結腸癌のD3郭清手技を,膵前筋膜と膵後筋膜をメルクマールに単純化を行い定型手術として言語化する.
【手術手技】内側アプローチは,後腸由来の横行結腸間膜が折り畳まれ後腹膜と癒着しているのを剥離する操作である.下行結腸内IMVの背側で腹膜を切開し,下行結腸間膜を後腹膜から授動を頭側・外側に進めると膵臓の背側から膵を授動するようになる.これは,膵後筋膜ごと横行結腸間膜が授動されたサインである.頭側アプローチは中腸由来横行結腸を前腸から解除する操作である.膵下縁で膵前筋膜と膵体部の癒合を切開すると,横行結腸間膜前葉が前腸である膵から解除され間膜が膵後筋膜に乗っている状態となる.IMVの頭側で膵後筋膜を切開すると横行結腸間膜後1/3から下行結腸間膜まで一枚に腸間膜=平面化となる.最後に尾側アプローチは横行結腸間膜基部の郭清を行う操作である.IMVおよび中結腸動脈を頂点とした郭清をするには,中結腸動脈,副中結腸動脈を根部で切離し,IMVを切離した後,肛門側へ向かい任意で下行結腸間膜を切離すれば,脾弯曲部横行結腸癌D3郭清が終了する.