講演情報
[SY2-4]直腸癌における腹腔鏡手術とロボット手術のプロペンシティスコアマッチングを用いた長期予後の比較
中野 大輔, 高雄 美里, 夏目 壮一郎, 加藤 博樹, 中守 咲子, 出嶋 皓, 白鳥 広志, 川合 一茂 (がん・感染症センター都立駒込病院大腸外科)
【背景・目的】内視鏡手術支援ロボットによる直腸癌手術は急速に普及している.しかし,直腸癌手術において腹腔鏡,ロボット のアプローチの違いによるアウトカムの影響については明らかではない.今回,propensity score matching(PSM)を用いて,アプローチによる短期・長期成績への影響を検討した.【対象・方法】2011年1月から2023年12月の期間に当科で手術を施行した直腸癌1620例で,開腹症例・術前治療症例・RS症例を除外したStage2/3の369例を対象とした.腹腔鏡(L群)215例/ロボット(R群)154例に群分けし,性別・年齢・局在・腫瘍径・cT・cNを説明変数としたPSモデルから1:1PSMを行い,長期成績を後ろ向きに検討した.【結果】L群とR群の比較において,132例ずつがマッチした.合併症発生率(Clavien-Dindo分類3以上)はL群23.5%,R群8.3%と有意にR群で低かった.縫合不全はL群13.6%,R群6.1%と有意にR群で低かった.イレウス7.6% vs.0%,吻合部出血1.6% vs.1.3%であった.3年OSはL群95%,R群94%で有意差は認めなかった(P=0.94).3年RFSはL群77%,R群80%で有意差は認めなかった(P=0.74).3年累積局所再発率はL群3.2%,R群3.4%で有意差は認めなかった(P=0.7).【考察と結語】本検討ではロボット手術において有意に合併症発生率が低く,長期成績においては差を認めなかった.ロボットによる直腸癌手術は妥当と考える.