講演情報

[O21-2]術後縫合不全に対するOTSC Systemによる内視鏡的瘻孔閉鎖の有用性

原田 岳1, 川村 崇文1, 小関 海都1, 一瀬 健太1, 河西 怜1, 見原 遥佑1, 清水 雄嗣1, 大菊 正人1, 稲葉 圭介1, 田村 浩章1, 平山 一久2, 落合 秀人1 (1.浜松医療センター消化器外科, 2.浜松医療センター臨床検査科)
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Over-The-Scope-Clip Systemは,2009年に欧米で臨床導入された内視鏡下に腸管全層縫合を可能にするデバイスで,日本でも2011年に薬事認可され拡がりを見せている.【症例1】72歳男性.上部直腸癌に対し腹腔鏡下低位前方切除術を施行.3PODにドレーン混濁がみられ縫合不全と診断した.全身状態良好であったため中心静脈栄養にて24PODまで経過を見たが瘻孔は良化せず,25PODに回腸人工肛門造設術を施行した.しかし以後もドレーン造影では腸管が描出された.68PODにOTSC Systemによる内視鏡的閉鎖術を施行.110PODに退院された.【症例2】84歳男性.直腸S状部癌にて腹腔鏡下高位前方切除術を施行.4PODにドレーン混濁がみられ縫合不全と診断した.症状はなく人工肛門造設を拒否されたため,中心静脈栄養で管理し,27PODにOTSC Systemによる内視鏡的閉鎖術を施行し,46PODに退院された.【症例3】58歳男性.同時性肝転移を有するS状結腸癌の術前診断で腹腔鏡下高位前方切除術を施行.術直後に多量の排便があり,1PODからドレーン増量と混濁を認め縫合不全と診断.腹膜炎所見はなく経肛門ドレーンを新たに挿入し中心静脈栄養にて管理した.16PODに内視鏡観察で吻合部にPinhollの瘻孔を確認し,20PODにOTSC Systemによる内視鏡的閉鎖術を施行した.閉鎖術施行後2日目から経腸栄養剤を開始したが症状増悪は認めなかった.34PODに退院された.【まとめ】 縫合不全を周術期にOTSC Systemで閉鎖し得た3例を経験した.縫合不全の大きさや経過にもよるが,人工肛門造設術を回避しうる手段として有用である.