講演情報
[O21-4]待機的右側結腸癌手術におけるドレーン留置の必要性
山本 陸, 花川 翔太, 藤崎 隆, 板倉 萌, 仁平 高朔, 小泉 明博, 加藤 永記, 宮下 真美子, 上田 脩平, 田中 顕一郎, 櫛田 知志, 伊藤 智彰, 佐藤 浩一 (順天堂大学医学部附属静岡病院外科)
【はじめに】当科では,大腸癌手術において全例でドレーンを留置しているのが現状だが,近年は結腸癌手術においてドレーンを留置しない施設も増えてきている.当科での待機的右側結腸癌手術(虫垂~横行結腸)におけるドレーン留置の必要性をretrospectiveに検討した.
【対象と方法】2022年1月から2023年7月に当科で待機的右側結腸癌手術を施行した69例を対象とした.ドレーンは全例19Fr J-VACドレーン(ETHICON社)を使用している.なお,下部消化管以外の手術を併施した症例や,多発大腸癌で左側結腸にも病変がある症例は除外した.
【結果】年齢中央値は76歳(54-92歳),男女比は42:27,腫瘍の局在は虫垂 1例,盲腸 17例,上行結腸 33例,横行結腸 18例であった.アプローチは開腹 17例,腹腔鏡 41例(うち3例はconvert),ロボット 11例,術式内訳は回盲部切除 32例,右結腸切除 3例,結腸右半切除 21例,横行結腸切除 2例,結腸部分切除 11例であり,他臓器合併切除は3例に認め,それぞれ性腺血管,尿管,十二指腸であった.周術期死亡は2例(2.9%)に認めた.全症例の腹腔ドレーン抜去日中央値は7PODであった.術後腹腔内出血は0例,縫合不全を認めたのは3例(4.3%)で,全例小腸-結腸吻合であったが,ドレーン性状による診断はされていなかった.腹腔ドレーンが治療に用いられたのは1例のみであったが,これは再手術時に挿入されたドレーンであった.術後乳びを4例,リンパ漏を1例に認め,それらのドレーン抜去日中央値は10PODで,それ以外の症例の中央値7PODと比べ遅かったが,いずれも保存的に軽快している.術前減圧処置はステント 2例,経鼻イレウス管 1例を認めたが,これらは縫合不全を認めず腹腔ドレーン抜去日中央値は9PODであった.
【考察】待機的右側結腸癌手術でのドレーン留置は,informationおよび治療的意義に乏しく,ルーチンでの留置の必要性は低い.縫合不全のハイリスク例などで留置した場合でも早期抜去が望ましい.
【対象と方法】2022年1月から2023年7月に当科で待機的右側結腸癌手術を施行した69例を対象とした.ドレーンは全例19Fr J-VACドレーン(ETHICON社)を使用している.なお,下部消化管以外の手術を併施した症例や,多発大腸癌で左側結腸にも病変がある症例は除外した.
【結果】年齢中央値は76歳(54-92歳),男女比は42:27,腫瘍の局在は虫垂 1例,盲腸 17例,上行結腸 33例,横行結腸 18例であった.アプローチは開腹 17例,腹腔鏡 41例(うち3例はconvert),ロボット 11例,術式内訳は回盲部切除 32例,右結腸切除 3例,結腸右半切除 21例,横行結腸切除 2例,結腸部分切除 11例であり,他臓器合併切除は3例に認め,それぞれ性腺血管,尿管,十二指腸であった.周術期死亡は2例(2.9%)に認めた.全症例の腹腔ドレーン抜去日中央値は7PODであった.術後腹腔内出血は0例,縫合不全を認めたのは3例(4.3%)で,全例小腸-結腸吻合であったが,ドレーン性状による診断はされていなかった.腹腔ドレーンが治療に用いられたのは1例のみであったが,これは再手術時に挿入されたドレーンであった.術後乳びを4例,リンパ漏を1例に認め,それらのドレーン抜去日中央値は10PODで,それ以外の症例の中央値7PODと比べ遅かったが,いずれも保存的に軽快している.術前減圧処置はステント 2例,経鼻イレウス管 1例を認めたが,これらは縫合不全を認めず腹腔ドレーン抜去日中央値は9PODであった.
【考察】待機的右側結腸癌手術でのドレーン留置は,informationおよび治療的意義に乏しく,ルーチンでの留置の必要性は低い.縫合不全のハイリスク例などで留置した場合でも早期抜去が望ましい.