講演情報
[PD2-7]XGBoosting treeアルゴリズム用いた直腸癌側方リンパ節転移予測に関する新規機械学習モデルの有用性
大矢 浩貴1, 小澤 真由美1, 大坊 侑1, 田中 宗伸1, 工藤 孝迪2, 前橋 学2, 太田 絵美3, 諏訪 雄亮2, 中川 和也1, 諏訪 宏和3, 渡邉 純1,4, 遠藤 格1 (1.横浜市立大学消化器・腫瘍外科学, 2.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 3.横須賀共済病院外科, 4.関西医科大学下部消化管外科学講座)
【背景】切除可能な直腸癌治療はリンパ節転移巣を含めた癌の完全切除が最も重要である.先行研究から腫瘍下縁が腹膜翻転部より肛門側にある直腸癌は16~23%の症例で側方リンパ節(LPLN)転移をきたすことが知られている.大腸癌治療ガイドライン2022年度版CQ5「直腸癌に対して側方郭清は推奨されるか」において,cT3以深の下部直腸癌に対して側方郭清を推奨しているが,現時点ではLPLN転移の診断基準は確立されておらず,側方郭清を省略できる症例の基準は明らかではない.
【目的】当教室において側方郭清を施行した下部直腸癌症例のデータセットを用いて,LPLN転移を予測する新規機械学習モデルを作成した.
【方法】2008年から2022年までに当教室関連3施設においてcN陽性で側方郭清を施行された下部直腸癌手術症例を抽出し,pLPLN陽性/陰性を教師データとした教師ありデータ学習をSPSS modeler環境で施行した.機械学習アルゴリズムにはXGBoosting tree(XGBT)を用い,不均衡データの取り扱いにクラス重み付けを使用した.XGBTのハイパーパラメータチューニングにはJupyter Notebook環境でベイズ最適化(Optuna)を使用した.
【結果】cN陽性で側方郭清を施行した366例を抽出した.3:1に無作為分割し,263例の学習データセットと103例の検証データセットを作成した.特徴量としてCEA,CA19-9,腫瘍最大径,組織型(tub1),cN2,cLPLN陽性,術前化学療法施行の有無を使用した.術前画像検査で短径5mm以上のLPLNを認めた場合にcLPLN陽性とした.学習データセットはpLPLN陽性 58例(22.1%),陰性 205例(77.9%)が含まれる軽度不均衡データであったため,クラス比率の逆数による重み付けによって調整した.ベイズ最適化によって求めたハイパーパラメータで作成したXGBTは 学習データセットにおけるROC-AUC 0.83に対して,検証データセットにおけるROC-AUC 0.82,Accuracy 0.75,Specificity 0.85,Sensitivity 0.46,NPV 0.83,PPV 0.48であった.
【結論】cN陽性で側方郭清を施行した下部直腸癌症例データセットを用いて,pLPLN新規予測モデルを作成した.XGBTによる新規機械学習モデルはpLPLN陰性予測に有用であり,側方郭清省略症例の選択に寄与する.
【目的】当教室において側方郭清を施行した下部直腸癌症例のデータセットを用いて,LPLN転移を予測する新規機械学習モデルを作成した.
【方法】2008年から2022年までに当教室関連3施設においてcN陽性で側方郭清を施行された下部直腸癌手術症例を抽出し,pLPLN陽性/陰性を教師データとした教師ありデータ学習をSPSS modeler環境で施行した.機械学習アルゴリズムにはXGBoosting tree(XGBT)を用い,不均衡データの取り扱いにクラス重み付けを使用した.XGBTのハイパーパラメータチューニングにはJupyter Notebook環境でベイズ最適化(Optuna)を使用した.
【結果】cN陽性で側方郭清を施行した366例を抽出した.3:1に無作為分割し,263例の学習データセットと103例の検証データセットを作成した.特徴量としてCEA,CA19-9,腫瘍最大径,組織型(tub1),cN2,cLPLN陽性,術前化学療法施行の有無を使用した.術前画像検査で短径5mm以上のLPLNを認めた場合にcLPLN陽性とした.学習データセットはpLPLN陽性 58例(22.1%),陰性 205例(77.9%)が含まれる軽度不均衡データであったため,クラス比率の逆数による重み付けによって調整した.ベイズ最適化によって求めたハイパーパラメータで作成したXGBTは 学習データセットにおけるROC-AUC 0.83に対して,検証データセットにおけるROC-AUC 0.82,Accuracy 0.75,Specificity 0.85,Sensitivity 0.46,NPV 0.83,PPV 0.48であった.
【結論】cN陽性で側方郭清を施行した下部直腸癌症例データセットを用いて,pLPLN新規予測モデルを作成した.XGBTによる新規機械学習モデルはpLPLN陰性予測に有用であり,側方郭清省略症例の選択に寄与する.