講演情報

[VWS2-6]右側結腸癌に対するロボット支援手術―新規手術ロボットの導入と術者教育―

奥谷 浩一, 野田 愛, 三代 雅明, 石井 雅之, 三浦 亮, 市原 もも子, 豊田 真帆, 岡本 行平, 秋月 恵美, 竹政 伊知朗 (札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科)
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【はじめに】
 結腸癌に対するロボット支援手術が2022年に本邦で保険収載され,当科では2019年7月より結腸癌に対するロボット支援手術を導入し,基本的にロボット支援手術を適応している.また当院では新規手術支援ロボットとしてhinotori,da Vinci SP,Hugoを導入し,症例に応じてこれらの手術支援ロボットを使用している.右側結腸癌に対するロボット支援手術の標準的な手術手技を供覧し,現状と今後の展望を新規手術支援ロボットの導入と術者教育の視点から考察する.
 【対象,方法】
 2019年7月から2024年3月に右側結腸癌に対して根治切除を施行した症例を対象に短期成績を後方視的に検討した.後腹膜剥離先行アプローチで右側結腸を授動,脈管切離およびリンパ節郭清を行い,肝弯曲部の結腸を剥離授動する.消化管再建は症例に応じて体腔外,体腔内吻合を選択した.
 【結果】
 対象期間にロボット支援手術を施行した症例は95例(da Vinci Xi 66例,hinotori 18例,da Vinci SP6例,Hugo5例)で,男性45例,女性50例で,BMIの中央値は23.42であった.手術時間(中央値)は256分,出血量(中央値)は5ml,開腹移行症例はなく,郭清リンパ節個数(中央値)は28個であった.Clavien-Dindo分類 G3以上の合併症発生率は3.1%で,術後在院日数(中央値)はR群9日であった.
 同時期に腹腔鏡下手術を施行した81例と年齢,性別,PS-ASA,腫瘍局在,cStageを共変量としてpropensity score matchingにて短期成績を比較したところ出血量や術後合併症発生率,郭清リンパ節個数に有意差はなかったが,術後入院期間はロボット支援手術で有意に短縮した.
 【まとめ】
 右側結腸癌に対するロボット支援手術は安全に施行可能である.長期成績への影響は今後の課題である.