講演情報

[VPD5-3]当院の手術症例から検討した低位筋間痔瘻細分類の試み

日高 仁1, 日高 元2, 佐々木 俊治1, 日高 久光1 (1.医療法人祥久会日高大腸肛門クリニック, 2.医療法人日高クリニック福岡)
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【はじめに】隅越分類において,低位筋間痔瘻(以下IIL型痔瘻)は,瘻管の走行がまっ直ぐかそれに近いIILsと,著しく屈曲しているか枝分かれして2つ以上皮膚に開口するIILcに分類されているが,実際の症例では原発口の部位や瘻管の本数・長さや走行形態には様々なバリエーションがある.隅越分類では細かに分類されていないそれらの因子は,術式選択に影響を与え,術後評価にも関わってくる.実臨床に則した細分類について,これまでの症例を検討し,提案したい.
 【対象と方法】 2021年1月から2023年12月までの当院でのIILc型痔瘻の手術症例について,2024年4月までの診療録より,術式選択に影響を与えると考えられる3つの因子(①瘻管の数が1本か複数か,②原発口が後方か前側方か,③瘻管の走行が直線的か屈曲しているか分枝しているか)について調べ,またそれぞれに行われた術式についても検討した.
 【結果】該当症例は全180例で平均年齢は43.2歳(16-82歳),男性:女性=161例:19例)であった.①瘻管の本数については単独:重複=159例:21例(2本が14例,3本が6例,4本が1例)であり,延べ209本であった.②原発口の位置について,単独例では後方:前側方=99例:60例,重複例については,後方のみ:前方のみ:前後方=5例:7例:9例であった.③瘻管の走行についてはのべ209本の瘻管のうち直線型:屈曲型:分枝型:その他=190本:13本:5本:1本であった.後方の単独痔瘻99例については,瘻管の走行形態に関わらず全て開放術式が行われていた.一方,前側方の単独痔瘻57例については,瘻管走行が直線のものには切開開放術:括約筋温存術=38例:19例,瘻管走行が直線以外の9例については切開開放術:括約筋温存術:Seton法=5例:3例:例1が行われていた.
 【まとめ】当院におけるIIL型痔瘻の手術症例をもとに,原発口の部位や瘻管の本数・走行形態などの因子を加味した臨床上より有用なIIL型痔瘻の細分類を呈示し,当院における手術の実際についても動画で呈示したい.