講演情報
[SY2-3]当科における原発性直腸癌に対するロボット支援手術と従来式腹腔鏡手術の比較―短期・長期および教育的側面―
花岡 まりえ, 杉下 哲夫, 柴野 潤, 杉浦 幸太, 竹中 雄輝, 徳橋 愛彦, 鳴瀬 絢, 貫井 聖人, 原田 紡, 山本 祥馬, 山本 雄大, 髙岡 亜弓, 佐々木 恵, 山内 慎一, 絹笠 祐介 (東京科学大学消化管外科学分野)
【はじめに】
直腸癌に対するロボット支援手術(RALS)に対する従来の腹腔鏡下手術(CLS)の比較については短期成績に関する報告が中心であり長期成績や教育的側面についての検討は少ない.
【目的】
当科で根治手術を施行された原発性直腸癌StageI-IIIに対するRALSとCLSの短期・長期成績および同一術者のLearning curveについて検討する.
【方法】
① 当科で原発性直腸癌に対して施行したRALS 159例(2017~2021)とCLS 45例(2014~2018)計204例を対象に傾向スコアマッチングを行い,各群45例(RALS 年齢中央値 69歳,CLS 67歳),計90例を最終的な解析対象とし,短期・長期成績を評価した.
② 同時期における当科での同一術者(2名)のRALSおよびCSLにおける手術時間におけるLearning curveについて検討した.
【結果】
① マッチング後は背景因子に有意差は認めなかった.手術時間(193分vs 237分),出血量(2.5mL vs 20mL),術後在院期間(6日vs 10日)はRALSで有意に良好であった.Clavien-Dindo Grade III以上の合併症はRALSで低かった(7% vs 22%).3年OS,RFS,3年局所無再発生存率は両群で有意差はなかったがRALS群で良好であり,特に3年局所無再発生存率についてRALS群で98%であった.
② 同時期に原発性直腸癌に対して2名の術者が行ったHAR・LARの症例についてRALS(32例)とCLS(48例)に分けて短期成績および手術時間のLearning curveについて検討した.患者背景,術前病期,術式に両群で有意差は認めなかった.手術時間(RALS vs CLS;268分vs 235分),出血量(5mL vs 15mL),Clavien-Dindo Grade III以上の合併症に両群で差を認めなかったが,CLSで1例術中輸血が施行された.手術時間のLearning curveについて,CLSでは症例によって波があり明らかなLearning curveを認めなかったのに対し,RALSでは15例目前後で緩やかに手術時間の短縮を認めた.
【結語】
当科における原発性直腸癌に対するRALSはCLSに比べて短期・長期成績において良好であった.またRALSでは比較的早期に学習効果が得られ,早期の術者育成に有用である可能性がある.
直腸癌に対するロボット支援手術(RALS)に対する従来の腹腔鏡下手術(CLS)の比較については短期成績に関する報告が中心であり長期成績や教育的側面についての検討は少ない.
【目的】
当科で根治手術を施行された原発性直腸癌StageI-IIIに対するRALSとCLSの短期・長期成績および同一術者のLearning curveについて検討する.
【方法】
① 当科で原発性直腸癌に対して施行したRALS 159例(2017~2021)とCLS 45例(2014~2018)計204例を対象に傾向スコアマッチングを行い,各群45例(RALS 年齢中央値 69歳,CLS 67歳),計90例を最終的な解析対象とし,短期・長期成績を評価した.
② 同時期における当科での同一術者(2名)のRALSおよびCSLにおける手術時間におけるLearning curveについて検討した.
【結果】
① マッチング後は背景因子に有意差は認めなかった.手術時間(193分vs 237分),出血量(2.5mL vs 20mL),術後在院期間(6日vs 10日)はRALSで有意に良好であった.Clavien-Dindo Grade III以上の合併症はRALSで低かった(7% vs 22%).3年OS,RFS,3年局所無再発生存率は両群で有意差はなかったがRALS群で良好であり,特に3年局所無再発生存率についてRALS群で98%であった.
② 同時期に原発性直腸癌に対して2名の術者が行ったHAR・LARの症例についてRALS(32例)とCLS(48例)に分けて短期成績および手術時間のLearning curveについて検討した.患者背景,術前病期,術式に両群で有意差は認めなかった.手術時間(RALS vs CLS;268分vs 235分),出血量(5mL vs 15mL),Clavien-Dindo Grade III以上の合併症に両群で差を認めなかったが,CLSで1例術中輸血が施行された.手術時間のLearning curveについて,CLSでは症例によって波があり明らかなLearning curveを認めなかったのに対し,RALSでは15例目前後で緩やかに手術時間の短縮を認めた.
【結語】
当科における原発性直腸癌に対するRALSはCLSに比べて短期・長期成績において良好であった.またRALSでは比較的早期に学習効果が得られ,早期の術者育成に有用である可能性がある.