講演情報
[R7-3]当院における超高齢大腸癌手術症例の検討
柳澤 公紀, 在田 麻美, 平木 将之, 畑 泰司, 村田 幸平 (関西労災病院外科)
【はじめに】
高齢者診療においては精神身体機能・社会背景などに配慮し,個々に応じた治療選択が重要である.大腸癌治療においては手術の低侵襲化,化学療法や放射線治療と治療選択肢があるが,高齢者に対する治療エビデンスは乏しい状況である.今回,当院で施行した90歳以上の超高齢者大腸癌症例に対する手術成績を検討したので報告する.
【目的・対象】
2019年1月~2024年3月の期間に当院で施行した大腸癌手術のうち90歳以上の症例を対象とし,患者背景・術後短期成績に関して後方視的検討を行った.
【結果】
対象症例は32例で,年齢中央値は92歳(90-100),性別は男性7例/女性25例.併存症は,循環器疾患(不整脈,冠動脈狭窄,心不全,大動脈瘤,弁膜症)11例,悪性疾患既往6例,認知症5例,腎機能障害5例,糖尿病3例であった.術式は右半切除13例,下行結腸部分切除1例,左半切除1例,S状結腸切除・高位前方切除7例,低位前方切除6例,直腸切断2例であった.待機手術は16例,準緊急または緊急手術は16例であった.手術アプローチはロボット4例,腹腔鏡27例,開腹1例であった.手術時間中央値は239分(45-622),術中出血量中央値は1ml(1-528).術後ケアユニット管理は8例(25.0%).共観診療科は,循環器内科が最多で13例であった.術後合併症にClavien-Dindo分類IIが8例(イレウス,SSI,尿路感染,せん妄),IVaが1例(たこつぼ型心筋症),Vが1例(縫合不全・SSI)であった.術後在院日数中央値は11日(7-59),転機は退院26例,転院5例,死亡退院1例であった.腫瘍深達度はT1b;2例/T2;1例/T3;15例/T4a;12例/T4b;2例であり,pStageについてはI;3例/II;13例/III;9例/IV;7例であった.術後補助化学療法を行った症例は認めなかった.
【まとめ】
Oncological emergency症例が多く,ほとんどの症例が進行癌の状態であった.複数の併存症を有するハイリスク症例が多く,循環器科,リエゾンチーム,ケアユニット,麻酔科,地域連携室などと術前から連携を図り,手術適応・術式選択について慎重に検討することが重要と考えられた.
高齢者診療においては精神身体機能・社会背景などに配慮し,個々に応じた治療選択が重要である.大腸癌治療においては手術の低侵襲化,化学療法や放射線治療と治療選択肢があるが,高齢者に対する治療エビデンスは乏しい状況である.今回,当院で施行した90歳以上の超高齢者大腸癌症例に対する手術成績を検討したので報告する.
【目的・対象】
2019年1月~2024年3月の期間に当院で施行した大腸癌手術のうち90歳以上の症例を対象とし,患者背景・術後短期成績に関して後方視的検討を行った.
【結果】
対象症例は32例で,年齢中央値は92歳(90-100),性別は男性7例/女性25例.併存症は,循環器疾患(不整脈,冠動脈狭窄,心不全,大動脈瘤,弁膜症)11例,悪性疾患既往6例,認知症5例,腎機能障害5例,糖尿病3例であった.術式は右半切除13例,下行結腸部分切除1例,左半切除1例,S状結腸切除・高位前方切除7例,低位前方切除6例,直腸切断2例であった.待機手術は16例,準緊急または緊急手術は16例であった.手術アプローチはロボット4例,腹腔鏡27例,開腹1例であった.手術時間中央値は239分(45-622),術中出血量中央値は1ml(1-528).術後ケアユニット管理は8例(25.0%).共観診療科は,循環器内科が最多で13例であった.術後合併症にClavien-Dindo分類IIが8例(イレウス,SSI,尿路感染,せん妄),IVaが1例(たこつぼ型心筋症),Vが1例(縫合不全・SSI)であった.術後在院日数中央値は11日(7-59),転機は退院26例,転院5例,死亡退院1例であった.腫瘍深達度はT1b;2例/T2;1例/T3;15例/T4a;12例/T4b;2例であり,pStageについてはI;3例/II;13例/III;9例/IV;7例であった.術後補助化学療法を行った症例は認めなかった.
【まとめ】
Oncological emergency症例が多く,ほとんどの症例が進行癌の状態であった.複数の併存症を有するハイリスク症例が多く,循環器科,リエゾンチーム,ケアユニット,麻酔科,地域連携室などと術前から連携を図り,手術適応・術式選択について慎重に検討することが重要と考えられた.