講演情報
[SR6-4]閉塞性大腸癌BTS症例の術後合併症のリスク因子の検討
若松 喬, 吉敷 智和, 麻生 喜祥, 飯岡 愛子, 本多 五奉, 金 翔哲, 代田 利弥, 磯部 聡史, 須並 英二 (杏林大学医学部附属病院下部消化管外科)
背景:閉塞性大腸癌において術前大腸ステント留置術はBridge to
surgery(BTS)として普及しており,良好な短期成績が報告されている.一方で,閉塞性大腸癌症例は非閉塞性大腸癌と比較して縫合不全など術後合併症のリスク因子となる可能性も指摘されている.
目的:BTS症例の術後合併症発症のリスク因子を抽出することを目的とした.
対象:当院にて2018年11月から2023年12月までに閉塞性大腸癌に対してBTS目的に大腸ステントを留置した55例を対象とした.
方法:患者背景,血液生化学検査所見(ステント留置前と手術直前の検査値を比較),腫瘍学的因子,ステント留置後の経過などからClavien-Dindo(CD)分類GradeII以上の術後合併症発症のリスク因子を探索した.
結果:対象症例は55例で,年齢71歳(中央値;30-90),男性33名(60%)であった.腫瘍部位は,右側結腸10例,左側結腸27例,直腸18例であった.ステント留置期間は22日(中央値;5-43),術後入院期間は15日(中央値;8-68)であった.CD分類Grade2以上の症例は13例(24%)であった(縫合不全5例,腸閉塞2例,腹腔内膿瘍2例,術後出血1例,尿路感染症2例,腸炎1例).
血液生化学検査所見の変化では,術前までに総蛋白が有意に上昇し(p<0.009),CRPが有意に減少した(p<0.010).
人工肛門を造設していない53症例で合併症発生のリスク因子に関して検討を行った.単変量解析では術前アルブミン(Alb)3.5以下(p<0.031),CRP1以上(p<0.009),ステント留置後Alb低下(p<0.001)症例が有意に合併症率が高かった.多変量解析ではステント留置後Alb低下が独立したリスク因子となった(p<0.027).
考察:BTSにより経口摂取可能となり栄養状態の改善が期待されるにも関わらず,Albが改善しない症例は術後合併症のリスクが高いと考えられた.今後,このような症例に対する合併症対策が重要と考えられた.
surgery(BTS)として普及しており,良好な短期成績が報告されている.一方で,閉塞性大腸癌症例は非閉塞性大腸癌と比較して縫合不全など術後合併症のリスク因子となる可能性も指摘されている.
目的:BTS症例の術後合併症発症のリスク因子を抽出することを目的とした.
対象:当院にて2018年11月から2023年12月までに閉塞性大腸癌に対してBTS目的に大腸ステントを留置した55例を対象とした.
方法:患者背景,血液生化学検査所見(ステント留置前と手術直前の検査値を比較),腫瘍学的因子,ステント留置後の経過などからClavien-Dindo(CD)分類GradeII以上の術後合併症発症のリスク因子を探索した.
結果:対象症例は55例で,年齢71歳(中央値;30-90),男性33名(60%)であった.腫瘍部位は,右側結腸10例,左側結腸27例,直腸18例であった.ステント留置期間は22日(中央値;5-43),術後入院期間は15日(中央値;8-68)であった.CD分類Grade2以上の症例は13例(24%)であった(縫合不全5例,腸閉塞2例,腹腔内膿瘍2例,術後出血1例,尿路感染症2例,腸炎1例).
血液生化学検査所見の変化では,術前までに総蛋白が有意に上昇し(p<0.009),CRPが有意に減少した(p<0.010).
人工肛門を造設していない53症例で合併症発生のリスク因子に関して検討を行った.単変量解析では術前アルブミン(Alb)3.5以下(p<0.031),CRP1以上(p<0.009),ステント留置後Alb低下(p<0.001)症例が有意に合併症率が高かった.多変量解析ではステント留置後Alb低下が独立したリスク因子となった(p<0.027).
考察:BTSにより経口摂取可能となり栄養状態の改善が期待されるにも関わらず,Albが改善しない症例は術後合併症のリスクが高いと考えられた.今後,このような症例に対する合併症対策が重要と考えられた.