講演情報
[R17-6]大腸疾患に起因する直腸膣瘻に対するエストリオール膣錠治療の効果
田村 昂1, 小山 文一1,2, 久下 博之1, 岩佐 陽介1, 高木 忠隆1, 藤本 浩輔1, 江㞍 剛気1, 吉川 千尋1, 庄 雅之1 (1.奈良県立医科大学消化器・総合外科, 2.奈良県立医科大学附属病院中央内視鏡部)
【目的】直腸膣瘻は女性の直腸手術後に起こりうる比較的稀な合併症であり,膣からの漏便など,QOLの低下が問題となる.治療としては瘻孔切除術や薄筋弁充填術,ストーマ造設術などの手術加療が行われているが難治例も存在する.近年,エストリオール膣錠(以下ES)の有効例が散見されている.今回,大腸疾患あるいは直腸手術に起因にする直腸膣瘻に対するエストリオール膣錠の効果を明らかにするため,自験例の検討を行った.
【方法】2007年1月から2022年12月に当科で治療を行った直腸膣瘻23例のうち,大腸疾患あるいは直腸手術に起因にする9例を対象とし,治療成績を後方的に検討した.
【成績】年齢の中央値は58(47-68)歳であった.原疾患は直腸癌/NET/GIST/潰瘍性大腸炎/クローン病が4/2/1/1/1例,施行術式はLAR/SLAR/ISR/局所切除/IAAが2/2/2/1/1例で,子宮/膣後壁合併切除を1/1例に施行した.アプローチ法は開腹/腹腔鏡/ロボット/経肛門が3/3/1/1例であった.膣瘻の発症時期は術前1例,術後8例で術後発症時期は術後30(5-1173)日であった.膣瘻に対する成功治療は,ES単独1例,ES+ストーマ2例,ES+ストーマ+根治手術3例,ストーマ+根治手術3例であった.再燃例を3例に認め,それぞれES単独,ストーマ+ES,ストーマ+瘻孔切除+薄筋弁充塡+ESで治癒した.
初回ES治療した7症例の全症例で治癒が得られた.ES投与から瘻孔閉鎖までの期間は中央値129(7-166)日であった.うち2例は再燃したが,いずれもESも含めた治療を行い,治癒に至っている.ES治療で膣瘻閉鎖が得られた7例のうち,6例でストーマ閉鎖施行またはストーマなしで治癒に至った..最終的なES治療の膣瘻閉鎖率は100%,再燃率は29%,再燃後治療の再閉鎖率は100%であった.
【結論】大腸疾患起因の直腸膣瘻に対するES治療は,ストーマ併用是非の課題は残るものの有望な可能性がある.
【方法】2007年1月から2022年12月に当科で治療を行った直腸膣瘻23例のうち,大腸疾患あるいは直腸手術に起因にする9例を対象とし,治療成績を後方的に検討した.
【成績】年齢の中央値は58(47-68)歳であった.原疾患は直腸癌/NET/GIST/潰瘍性大腸炎/クローン病が4/2/1/1/1例,施行術式はLAR/SLAR/ISR/局所切除/IAAが2/2/2/1/1例で,子宮/膣後壁合併切除を1/1例に施行した.アプローチ法は開腹/腹腔鏡/ロボット/経肛門が3/3/1/1例であった.膣瘻の発症時期は術前1例,術後8例で術後発症時期は術後30(5-1173)日であった.膣瘻に対する成功治療は,ES単独1例,ES+ストーマ2例,ES+ストーマ+根治手術3例,ストーマ+根治手術3例であった.再燃例を3例に認め,それぞれES単独,ストーマ+ES,ストーマ+瘻孔切除+薄筋弁充塡+ESで治癒した.
初回ES治療した7症例の全症例で治癒が得られた.ES投与から瘻孔閉鎖までの期間は中央値129(7-166)日であった.うち2例は再燃したが,いずれもESも含めた治療を行い,治癒に至っている.ES治療で膣瘻閉鎖が得られた7例のうち,6例でストーマ閉鎖施行またはストーマなしで治癒に至った..最終的なES治療の膣瘻閉鎖率は100%,再燃率は29%,再燃後治療の再閉鎖率は100%であった.
【結論】大腸疾患起因の直腸膣瘻に対するES治療は,ストーマ併用是非の課題は残るものの有望な可能性がある.