講演情報
[P17-2-6]上部消化管X線検査後のバリウムによる腸閉塞を契機に診断された進行直腸癌の一例
佐藤 好宏1, 辻仲 眞康1, 三浦 智也1, 北村 洋1, 長嶋 信太朗2, 岩田 典士1, 近藤 裕哉1, 藤村 敏行1, 山家 研一郎2, 澤田 健太郎1, 桜井 博仁2, 三田村 篤1, 高見 一弘2, 近藤 典子2, 山本 久仁治2, 中野 徹1, 片寄 友2, 柴田 近1 (1.東北医科薬科大学病院消化器外科, 2.東北医科薬科大学病院肝胆膵外科)
【はじめに】左側の進行大腸癌は腹部症状を来すことが稀でなく,下血や便秘,腸閉塞症状で診断に至ることも多い.今回我々は腹部の自覚症状を認めず,検診のバリウムを飲用後の腸閉塞を契機に診断に至った進行直腸癌の一例を経験したため報告する.
【症例】70代の男性.特記すべき既往症なく,受診以前に腹部の自覚症状を認めていなかった.202X年2月に検診の上部消化管X線検査のためバリウムを飲用した.その後から排便を認めず,腹部膨満が出現したため約4週間後に前医を受診した.腹部CT検査にて,直腸RSに全周性の壁肥厚を認め,その口側結腸の著明な拡張とバリウムと考えられる高吸収な液体成分の充満を認めた.進行直腸癌による腸閉塞が疑われ同日に当院消化器内科紹介となり,大腸ステントが留置された.第4病日に全大腸内視鏡検査が施行され,肛門縁より13cmに全周性の2型腫瘍を認め,生検で腺癌と診断された.ステントの開存を確認後,腸管洗浄剤および緩下剤の服用によりバリウムのクリアランスを得た.手術目的で当科紹介となり,第21病日にD3リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した.術後合併症なく,術後9病日に退院され,以降外来で補助化学療法を施行中である.
【考察】バリウムを使用した上部消化管X線検査は日常的に広く普及している一方で,稀ではあるが偶発症の報告が散見される.日本消化器がん検診学会によるアンケート報告によると,偶発症の発生頻度はバリウムの誤嚥が最も多く(907例/3,184,182例),腸閉塞は4例と非常に稀である.本症例を経験し,検査前問診によるスクリーニングと腸閉塞発症後の適切な対応の重要性を再認識した.
【症例】70代の男性.特記すべき既往症なく,受診以前に腹部の自覚症状を認めていなかった.202X年2月に検診の上部消化管X線検査のためバリウムを飲用した.その後から排便を認めず,腹部膨満が出現したため約4週間後に前医を受診した.腹部CT検査にて,直腸RSに全周性の壁肥厚を認め,その口側結腸の著明な拡張とバリウムと考えられる高吸収な液体成分の充満を認めた.進行直腸癌による腸閉塞が疑われ同日に当院消化器内科紹介となり,大腸ステントが留置された.第4病日に全大腸内視鏡検査が施行され,肛門縁より13cmに全周性の2型腫瘍を認め,生検で腺癌と診断された.ステントの開存を確認後,腸管洗浄剤および緩下剤の服用によりバリウムのクリアランスを得た.手術目的で当科紹介となり,第21病日にD3リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した.術後合併症なく,術後9病日に退院され,以降外来で補助化学療法を施行中である.
【考察】バリウムを使用した上部消化管X線検査は日常的に広く普及している一方で,稀ではあるが偶発症の報告が散見される.日本消化器がん検診学会によるアンケート報告によると,偶発症の発生頻度はバリウムの誤嚥が最も多く(907例/3,184,182例),腸閉塞は4例と非常に稀である.本症例を経験し,検査前問診によるスクリーニングと腸閉塞発症後の適切な対応の重要性を再認識した.