講演情報
[P15-2-4]covering Stoma閉鎖後に発症した劇症型CD腸炎に対しFDXで救命した1例
堀 昌明1, 吉松 和彦1, 矢野 修也1, 兼定 航3, 伊藤 嘉智2, 井上 貴裕1, 神原 啓伸1, 景山 千幸1, 木下 征也4, 岩本 怜5, 北川 集士1, 上野 綸1, 峯田 修明1, 古谷 圭1, 窪田 寿子6, 東田 正陽1, 岡田 敏正1, 遠藤 俊治1, 藤原 由規1, 上野 富雄1 (1.川崎医科大学消化器外科, 2.いとうクリニック, 3.宇部興産中央病院, 4.医療法人つばさつばさクリニック, 5.医療法人望いわもとクリニック, 6.岡山中央病院)
【症例】60歳男性,身長:182.6cm,体重:86.2kg
【背景】X年Y月に直腸癌に対してCRT後に腹腔鏡下超低位前方切除☆回腸Stoma造設されていた.Y☆7月に当科でcovering Stoma閉鎖術が施行された.術中および第2病日までは問題ない術後経過であったが第3病日に収縮期血圧60台,Room airでSaturationが70台と急激な血圧低下とSaturationの低下を認めたためICUに入室し昇圧剤とNHFCで呼吸循環管理を行いつつ精査を行った.造影CTでは腸管に浮腫状の壁肥厚と腸管内に多量の便貯留をみとめ麻痺性イレウスの状態であった.血圧低下時より急激な下痢症状も認めたため便培養も採取を行ったところ,CD毒素陽性であり急激な血圧低下とSaturationの低下は劇症型のClostridioides infectionの状態であった.
劇症化のCD腸炎でありFDXにて内服抗生剤加療を開始した.
抗生剤加療後,Vitalも安定し第9病日にICU退室した.
その後も経過問題なく22病日に自宅退院となった.
【考察・結語】CD腸炎の危険因子としては抗生剤の長期及び多剤併用投与が挙げられているが,本症例では発症直前の抗生剤長期投与は行われていなかった.大腸癌後の患者は抗生剤を長期及び多剤併用投与を行われていない症例であってもCD腸炎は鑑別に挙げる必要がある.今回発症早期のCD腸炎に対してRNAポリメラーゼ阻害薬であり,芽胞への有効性が高いFDXで抗生剤加療し劇症型CD腸炎を救命できた1例を経験したため,文献的考察を踏まえて報告する.
【背景】X年Y月に直腸癌に対してCRT後に腹腔鏡下超低位前方切除☆回腸Stoma造設されていた.Y☆7月に当科でcovering Stoma閉鎖術が施行された.術中および第2病日までは問題ない術後経過であったが第3病日に収縮期血圧60台,Room airでSaturationが70台と急激な血圧低下とSaturationの低下を認めたためICUに入室し昇圧剤とNHFCで呼吸循環管理を行いつつ精査を行った.造影CTでは腸管に浮腫状の壁肥厚と腸管内に多量の便貯留をみとめ麻痺性イレウスの状態であった.血圧低下時より急激な下痢症状も認めたため便培養も採取を行ったところ,CD毒素陽性であり急激な血圧低下とSaturationの低下は劇症型のClostridioides infectionの状態であった.
劇症化のCD腸炎でありFDXにて内服抗生剤加療を開始した.
抗生剤加療後,Vitalも安定し第9病日にICU退室した.
その後も経過問題なく22病日に自宅退院となった.
【考察・結語】CD腸炎の危険因子としては抗生剤の長期及び多剤併用投与が挙げられているが,本症例では発症直前の抗生剤長期投与は行われていなかった.大腸癌後の患者は抗生剤を長期及び多剤併用投与を行われていない症例であってもCD腸炎は鑑別に挙げる必要がある.今回発症早期のCD腸炎に対してRNAポリメラーゼ阻害薬であり,芽胞への有効性が高いFDXで抗生剤加療し劇症型CD腸炎を救命できた1例を経験したため,文献的考察を踏まえて報告する.