講演情報
[O25-6]当院における腹腔鏡下直腸固定術が直腸脱患者に与える影響
田辺 寛1, 馬場 研二2, 成尾 知紀1, 椎葉 忠恕1, 中嶋 太極1, 米盛 圭一1, 瀧川 譲治1, 帆北 修一1, 上之園 芳一1, 大塚 隆生1 (1.今村総合病院消化器外科, 2.鹿児島大学病院消化器外科)
【緒言】
直腸脱患者に対する腹腔鏡下直腸固定術は経肛門的手術と比較して再発が少ないことが報告されているが,直腸を授動しメッシュを仙骨に固定する手技は侵襲的であり,経肛門的手術と比較してより高度な手技を必要とされるため,限られた施設で行われている.患者背景や直腸脱の程度,患者の希望,施設の状況により術式は慎重に選択するべきである.当院では再発症例や若年症例に対して腹腔鏡下直腸固定術を適応としている.
【目的】
今回,当院における腹腔鏡下直腸固定術の手技と治療成績を報告し,直腸脱患者に与える影響を経肛門的手術と比較して検討した.
【手術手技】
1952年にWellsが報告した後方固定法を用いている.腹腔鏡下にtotal mesorectal excision(TME)の層で直腸を全周性に剥離し,神経を温存しながら仙骨前面を露出させ肛門挙筋のレベルまで剥離を進める.ポリプロピレンメッシュを仙骨前面にタッキング固定し,直腸を骨盤から引き抜き,後方1/2周にメッシュを巻き付け縫合固定する.切開した腹膜を縫合閉鎖し,メッシュが腹腔に露出しないようにする.
【対象・方法】
2022年4月から2024年3月までに施行した直腸脱手術7例(腹腔鏡下直腸固定術 2例,経肛門的手術(三輪Gantz+Thiersch法)5例)を後方視的に検討した.患者背景,手術成績,術後の排便状況,短期成績を評価した.
【結果】
腹腔鏡下直腸固定術と経肛門的手術の手術時間中央値はそれぞれ193分,59分,出血量中央値は7.5ml,20ml,術後在院日数中央値は9日,6日だった.どちらも術中術後の合併症は認められなかった.腹腔鏡下直腸固定術では再発は認められなかったが,経肛門的手術では5例中3例で再発を認めた.術後の排便状況は,腹腔鏡下直腸固定術後は良好だったが,経肛門的手術後は5例中2例で排便困難を認めた.
【結語】
当院における腹腔鏡下直腸固定術は安全に施行されており,術後の排便状況や再発の観点から有用な術式であると考えられた.
直腸脱患者に対する腹腔鏡下直腸固定術は経肛門的手術と比較して再発が少ないことが報告されているが,直腸を授動しメッシュを仙骨に固定する手技は侵襲的であり,経肛門的手術と比較してより高度な手技を必要とされるため,限られた施設で行われている.患者背景や直腸脱の程度,患者の希望,施設の状況により術式は慎重に選択するべきである.当院では再発症例や若年症例に対して腹腔鏡下直腸固定術を適応としている.
【目的】
今回,当院における腹腔鏡下直腸固定術の手技と治療成績を報告し,直腸脱患者に与える影響を経肛門的手術と比較して検討した.
【手術手技】
1952年にWellsが報告した後方固定法を用いている.腹腔鏡下にtotal mesorectal excision(TME)の層で直腸を全周性に剥離し,神経を温存しながら仙骨前面を露出させ肛門挙筋のレベルまで剥離を進める.ポリプロピレンメッシュを仙骨前面にタッキング固定し,直腸を骨盤から引き抜き,後方1/2周にメッシュを巻き付け縫合固定する.切開した腹膜を縫合閉鎖し,メッシュが腹腔に露出しないようにする.
【対象・方法】
2022年4月から2024年3月までに施行した直腸脱手術7例(腹腔鏡下直腸固定術 2例,経肛門的手術(三輪Gantz+Thiersch法)5例)を後方視的に検討した.患者背景,手術成績,術後の排便状況,短期成績を評価した.
【結果】
腹腔鏡下直腸固定術と経肛門的手術の手術時間中央値はそれぞれ193分,59分,出血量中央値は7.5ml,20ml,術後在院日数中央値は9日,6日だった.どちらも術中術後の合併症は認められなかった.腹腔鏡下直腸固定術では再発は認められなかったが,経肛門的手術では5例中3例で再発を認めた.術後の排便状況は,腹腔鏡下直腸固定術後は良好だったが,経肛門的手術後は5例中2例で排便困難を認めた.
【結語】
当院における腹腔鏡下直腸固定術は安全に施行されており,術後の排便状況や再発の観点から有用な術式であると考えられた.