講演情報
[VSY1-7]横行結腸癌に対するロボット支援手術の手術手技
賀川 弘康, 塩見 明生, 眞部 祥一, 山岡 雄祐, 田中 佑典, 笠井 俊輔, 井垣 尊弘, 島野 瑠美, 額田 卓, 森 千浩, 石黒 哲史, 坂井 義博, 髙嶋 祐助, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 横山 希生人, 八尾 健太 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
【はじめに】
結腸癌に対するロボット支援手術は2022年より保険収載され,当院では難易度の高い横行結腸癌のアプローチ法はロボット支援手術を第一選択としている.①中結腸根リンパ節(223)郭清,②血管分岐のバリエーションが豊富な胃結腸静脈幹(GCT)の解剖と安全な血管処理,③肝弯曲,脾弯曲授動の定型化と体腔内吻合の手技獲得の3点が横行結腸切除の安全性の担保と手術時間の短縮に重要である.
【手術手技】
デバイスはMonopolar Curved ScissorsとVessel Sealerを用い,郭清,授動はcaudal approachにて行っている.① 223郭清では,十二指腸水平脚からTreitz靱帯をメルクマールとし横行結腸間膜の根部から郭清を始め,上腸間膜静脈前面,上腸間膜動脈神経叢前面の剥離層を広く同定,膵下縁を郭清縁とすることで安全に郭清を行える.② GCTの処理では,胃,結腸,膵の静脈の方向を分離することが安全な血管処理を行う上で重要である.先に動脈系を切離し良好な術野を確保し,GCT右側では結腸間膜を膵頭部からの授動,GCT左側では結腸と胃間膜を剥離し結腸枝が立ち上がる術野をつくり,安全な副中結腸静脈の切離が可能とある.③横行結腸の占居部位により肝弯曲授動,脾弯曲授動の必要性と体腔内吻合を併用することにより授動範囲を縮小可能であるか見極めが必要であるが,脾弯曲授動は内側アプローチ先行で行い,頭側から膵下縁で結腸間膜,大網,脾結腸間膜を含む脂肪組織を切離することで個体差に左右されにくい定型化された脾弯曲授動が可能である.体腔内吻合は,再建結腸の向きによりOverlap法,デルタ法,機能的端々吻合の使い分けを行う.
【結果】
2019-2024年に横行結腸癌に対するロボット支援手術を85例に施行.年齢74歳,男性/女性:44/41例,BMI23.1(15.3-33.3).cStage I/II/III/IV:37/22/26/1例,郭清(D3/D2):58/27例,吻合法(体腔内/体腔外):45例/40例.手術時間202(100-354)分,出血量0(0-62)mL,開腹移行0例,術後在院日数7日.術後合併症:Clavien-Dindo≧Grade I:41例(9.4%),Clavien-Dindo≧Grade III:1例(1.2%).
【結語】
横行結腸癌に対するロボット支援手術における手技と工夫との要点をビデオで供覧する.
結腸癌に対するロボット支援手術は2022年より保険収載され,当院では難易度の高い横行結腸癌のアプローチ法はロボット支援手術を第一選択としている.①中結腸根リンパ節(223)郭清,②血管分岐のバリエーションが豊富な胃結腸静脈幹(GCT)の解剖と安全な血管処理,③肝弯曲,脾弯曲授動の定型化と体腔内吻合の手技獲得の3点が横行結腸切除の安全性の担保と手術時間の短縮に重要である.
【手術手技】
デバイスはMonopolar Curved ScissorsとVessel Sealerを用い,郭清,授動はcaudal approachにて行っている.① 223郭清では,十二指腸水平脚からTreitz靱帯をメルクマールとし横行結腸間膜の根部から郭清を始め,上腸間膜静脈前面,上腸間膜動脈神経叢前面の剥離層を広く同定,膵下縁を郭清縁とすることで安全に郭清を行える.② GCTの処理では,胃,結腸,膵の静脈の方向を分離することが安全な血管処理を行う上で重要である.先に動脈系を切離し良好な術野を確保し,GCT右側では結腸間膜を膵頭部からの授動,GCT左側では結腸と胃間膜を剥離し結腸枝が立ち上がる術野をつくり,安全な副中結腸静脈の切離が可能とある.③横行結腸の占居部位により肝弯曲授動,脾弯曲授動の必要性と体腔内吻合を併用することにより授動範囲を縮小可能であるか見極めが必要であるが,脾弯曲授動は内側アプローチ先行で行い,頭側から膵下縁で結腸間膜,大網,脾結腸間膜を含む脂肪組織を切離することで個体差に左右されにくい定型化された脾弯曲授動が可能である.体腔内吻合は,再建結腸の向きによりOverlap法,デルタ法,機能的端々吻合の使い分けを行う.
【結果】
2019-2024年に横行結腸癌に対するロボット支援手術を85例に施行.年齢74歳,男性/女性:44/41例,BMI23.1(15.3-33.3).cStage I/II/III/IV:37/22/26/1例,郭清(D3/D2):58/27例,吻合法(体腔内/体腔外):45例/40例.手術時間202(100-354)分,出血量0(0-62)mL,開腹移行0例,術後在院日数7日.術後合併症:Clavien-Dindo≧Grade I:41例(9.4%),Clavien-Dindo≧Grade III:1例(1.2%).
【結語】
横行結腸癌に対するロボット支援手術における手技と工夫との要点をビデオで供覧する.