講演情報
[P12-2-8]直腸癌術後局所再発症例に対する重粒子線療法についての検討
関 由季, 福岡 達成, 丹田 秀樹, 今西 大樹, 西山 方規, 西山 毅, 米光 健, 福井 康裕, 笠島 裕明, 三木 友一朗, 吉井 真美, 田村 達郎, 渋谷 雅常, 豊川 貴弘, 李 栄柱, 前田 清 (大阪公立大学大学院医学研究科消化器外科学)
【背景】直腸癌の局所再発に対する重粒子線療法は5年局所制御率88%と外科的治療に匹敵する高い局所制御率を有すると報告されており,根治性や機能温存の面からも有用だと考えられる.2022年4月に重粒子線療法は切除困難な局所再発大腸癌に対して保険適応となりその適応は拡大している.そこで今回直腸癌局所再発に対する重粒子線療法を施行した症例について有用性や安全性について検討した.
【方法】保険適応後の2022年4月から2024年4月に当科で直腸癌の原発巣根治切除後の骨盤内局所再発に対して重粒子線療法を施行した6症例を対象とし,後方視的に検討した.
【結果】6例のうち男性は3例,女性は3例,年齢中央値は68歳.直腸癌原発巣切除後に補助化学療法を施行した症例が5例,経過観察のみが1例.術後再発までの期間は中央値34か月であった.再発病変に対して重粒子線治療を先行した症例が4例,局所再発病変を切除した後の再再発病変に対して重粒子線療法を施行した症例が2例であった.全例において重粒子線療法は73.6Gy(RBE:relative biological effect)/16分割が選択された.重粒子線療法後の有害事象としては骨盤内感染が1例認められ骨盤内ドレナージを施行した.また2例において照射野の腸管穿孔のリスクに対し予防的腸管切除(腹腔鏡下小腸部分切除,ロボット支援下腹会陰式直腸切断術)を施行した.これら2例についてはそれ以降の有害事象を認めていない.重粒子線療法後,3例は再発なく経過し,再発例は3例に認めた.1例は骨盤局所の再発,2例は肺転移であった.局所再発例では再度の重粒子線療法を,肺転移例のうち1例では根治切除を施行した.
【結語】重粒子治療後の有害事象は比較的少なく,予防的治療を選択することでより安全性を担保することが可能と考えられる.観察期間が短く評価は難しいが,長期無再発症例も認めており,有用な治療法の選択肢の一つとなり得ると考えられた.今後さらに症例を重ねて検討する必要性があると考えられた.
【方法】保険適応後の2022年4月から2024年4月に当科で直腸癌の原発巣根治切除後の骨盤内局所再発に対して重粒子線療法を施行した6症例を対象とし,後方視的に検討した.
【結果】6例のうち男性は3例,女性は3例,年齢中央値は68歳.直腸癌原発巣切除後に補助化学療法を施行した症例が5例,経過観察のみが1例.術後再発までの期間は中央値34か月であった.再発病変に対して重粒子線治療を先行した症例が4例,局所再発病変を切除した後の再再発病変に対して重粒子線療法を施行した症例が2例であった.全例において重粒子線療法は73.6Gy(RBE:relative biological effect)/16分割が選択された.重粒子線療法後の有害事象としては骨盤内感染が1例認められ骨盤内ドレナージを施行した.また2例において照射野の腸管穿孔のリスクに対し予防的腸管切除(腹腔鏡下小腸部分切除,ロボット支援下腹会陰式直腸切断術)を施行した.これら2例についてはそれ以降の有害事象を認めていない.重粒子線療法後,3例は再発なく経過し,再発例は3例に認めた.1例は骨盤局所の再発,2例は肺転移であった.局所再発例では再度の重粒子線療法を,肺転移例のうち1例では根治切除を施行した.
【結語】重粒子治療後の有害事象は比較的少なく,予防的治療を選択することでより安全性を担保することが可能と考えられる.観察期間が短く評価は難しいが,長期無再発症例も認めており,有用な治療法の選択肢の一つとなり得ると考えられた.今後さらに症例を重ねて検討する必要性があると考えられた.