講演情報
[VPD1-4]坐骨直腸窩痔瘻に対する根治術の最適アプローチ法
吉元 崇文, 辻 順行, 高野 正太, 中村 寧, 伊禮 靖苗, 玉岡 滉平, 松本 朝子, 高野 正博 (大腸肛門病センター高野病院)
現在本邦では坐骨直腸窩痔瘻に対する手術のアプローチ法としては,浅外括約筋外から手術を開始するアプローチ(側方法)と浅外括約筋間の肛門後方からアプローチ(後方法)する方法があり,一長一短ある.そこで今回最適な手術のアプローチ法を検討した.(対象と方法)2008年4月から2011年3月までに坐骨直腸窩痔瘻に対して後方法で根治術を行い再来による観察か術後のアンケートで経過観察した62例と2012年4月から2014年3月までに坐骨直腸窩痔瘻に対して側方法で根治術を行い同様に経過観察した66例を対象とした.また方法は手術時間,治癒期間,無再発率の有無の結果と坐骨直腸窩痔瘻の発生様式から側方法と後方法を比較検討した.
(坐骨直腸窩痔瘻の発生様式)1991年に辻らは大腸肛門病会誌で「後方に存在する肛門腺に感染が発生すると,肛門後方で内括約筋とcourtney's Spaceの間に存在する深外括約筋が防波堤として働くために,症例によっては内括約筋と深外括約筋の間に中間膿瘍が発生する.症例によっては,後方への圧がさらに高まり深外括約筋を破り,後方に広がる症例が出てくる.その後側方の坐骨直腸窩にも広がり,片側方や馬蹄形の坐骨直腸窩膿瘍が発生する.その後中間膿瘍と坐骨直腸窩膿瘍は吸収され,坐骨直腸窩痔瘻ができる」ことを報告した.(結果)1.手術時間(分)(IIIB)は側方法と後方法 40:41で有意差なし,2.治癒期間(日)はそれぞれ 103:193で有意差あり,3.無再発率(%)はそれぞれ 98:55.6で有意差あり,(考察)肛門エコーで観察すると,中間膿瘍は経時的に吸収されて,低位筋間痔瘻様に縮小する.これは当院で行なっているIILSに対する筋粘膜弁法で対処でき,後方を大きく切開する必要はない.そして側方の坐骨直腸窩に伸びる瘻管は,後方法より側方法の方が直下に手術が可能であり切除が容易である.また治癒日数や無再発率も側方法が有意に優れていた.(結語)以上より坐骨直腸窩痔瘻に対する根治術は,側方法が最適アプローチ法であると判断された.
(坐骨直腸窩痔瘻の発生様式)1991年に辻らは大腸肛門病会誌で「後方に存在する肛門腺に感染が発生すると,肛門後方で内括約筋とcourtney's Spaceの間に存在する深外括約筋が防波堤として働くために,症例によっては内括約筋と深外括約筋の間に中間膿瘍が発生する.症例によっては,後方への圧がさらに高まり深外括約筋を破り,後方に広がる症例が出てくる.その後側方の坐骨直腸窩にも広がり,片側方や馬蹄形の坐骨直腸窩膿瘍が発生する.その後中間膿瘍と坐骨直腸窩膿瘍は吸収され,坐骨直腸窩痔瘻ができる」ことを報告した.(結果)1.手術時間(分)(IIIB)は側方法と後方法 40:41で有意差なし,2.治癒期間(日)はそれぞれ 103:193で有意差あり,3.無再発率(%)はそれぞれ 98:55.6で有意差あり,(考察)肛門エコーで観察すると,中間膿瘍は経時的に吸収されて,低位筋間痔瘻様に縮小する.これは当院で行なっているIILSに対する筋粘膜弁法で対処でき,後方を大きく切開する必要はない.そして側方の坐骨直腸窩に伸びる瘻管は,後方法より側方法の方が直下に手術が可能であり切除が容易である.また治癒日数や無再発率も側方法が有意に優れていた.(結語)以上より坐骨直腸窩痔瘻に対する根治術は,側方法が最適アプローチ法であると判断された.