講演情報

[P1-2-4]ハルトマン手術後ストーマ壊死を合併した2例

石川 達郎1, 岩本 一亜1,2, 志田 晴彦1, 小野 聡2 (1.新久喜総合病院外科, 2.新久喜総合病院消化器センター)
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高齢者や障害を持つ患者の低侵襲手術は,疼痛を軽減し早期リハビリができる.ストーマサイトから腸管切除ないし誘導した症例で,ストーマ壊死をきたし再手術を要した2例を経験した.
症例1:67歳男性,外傷性くも膜下出血に対して保存的治療後.下血確認され大腸内視鏡でRaに25mm,Type2,Tub1病変確認され当科紹介となった.既往に高血圧と脳幹腫瘍術後で,右不全麻痺,高次脳機能障害を合併.ストーマサイトから病変切除し腹腔鏡下ハルトマン手術を行った.術直後から誤嚥が関連して咳嗽が頻発し過度な腹圧がかかっていた.術後3日目ストーマ周囲の膨隆みられ単純CTで傍ストーマヘルニアが確認された.経口摂取を開始したが誤嚥性肺炎および小腸閉塞を合併し,11病日に傍ストーマヘルニア・小腸閉塞で腹腔鏡下ヘルニア修復+小腸部分切除を行った.その後肺炎改善し経口摂取可能となったが血流障害に伴うストーマ虚血+傍ストーマヘルニア再発にて29病日に開腹でのストーマ再々造設,42病日に腸管血流障害が顕著となりストーマ虚血壊死+結腸腸間膜炎を合併し,3度目のストーマ再造設+結腸部分切除を施行した.この際はICGを用いて術中にストーマ造設部位の血流を確認した.その後肺炎が再燃,腹壁ヘルニア+脱出回腸穿孔も併発し保存的治療を行なった.症例2:82歳女性,排便時出血にて近医より紹介.直腸指診にてRbに腫瘍触知し,内視鏡で45mm,Type1+LST,TVAと診断された.既往歴に脳梗塞,高血圧,左乳癌手術があり,左不全麻痺で杖歩行.腹腔鏡下直腸切断術で会陰から病変切除し,ストーマサイトより腸管を誘導し造設した.1病日にストーマが暗赤色となり,腸管の血流不全に陥り人工肛門壊死・虚血性腸炎で18病日に下行結腸切除+人工肛門再造設を行なった.46病日に挙上腸管の損傷でストーマ再々造設し,84病日に退院となった.
高齢者・合併症例には縫合不全を回避する為,人工肛門造設を選択する傾向がある.低侵襲手術は疼痛軽減し早期離床が可能ではあるが,ストーマ管理の自立/自宅対応で入院が長期化する.高齢者・合併症例は特に傍ストーマヘルニアや腸管虚血に留意して人工肛門を造設すべきでり,再手術の際は腹壁創の軽減に捉われず確実な術式を選択すべきである.