講演情報
[O7-1]当科における局所進行結腸癌に対する術前化学療法の検討
五十畑 則之, 藤井 あゆみ, 遠藤 俊吾 (福島県立医科大学会津医療センター大腸肛門外科)
【目的】腫瘍の過伸展や他臓器浸潤により治癒切除困難な局所進行結腸癌に対して術前化学療法(NAC)を行っており,その治療成績を検討した.
【方法】2015年4月から2024年3月までに,NACを行った結腸癌15例を対象とした.臨床病理学的因子,化学療法の効果,有害事象,手術の短期と長期成績を検討した.
【結果】男8例,女7例,年齢中央値64(39~84)歳で,占居部位はC 1例,A 1例,S 13例であった.7例は同時性遠隔転移を認め,肝5例,肺2例,腹膜2例,傍大動脈リンパ節1例(重複あり)であった.12例は化学療法前に人工肛門を造設した.RAS wild 10例,mutant 5例であった.レジメンはFOLFOX 2例,FOLFIRI 7例,IRIS 3例,FOLFOXIRI 3例で,全例に分子標的薬を併用した.効果はPR 13例,SD 2例であった.原発巣の最大径はNAC前の中央値70.0(37.0~88.5)mm,NAC後が40.4(22.0~48.0)mm,縮小率は41.2(18.3~70.0)%であった.Grade3の有害事象は貧血1例,白血球減少5例,好中球減少5例,口内炎1例を認めた.15例中,腹壁浸潤を認めた盲腸癌1例以外の14例で原発巣を切除した.骨盤壁と膀胱に浸潤したS状結腸癌の1例は原発巣に明らかな遺残を認めた.他臓器合併切除を11例に行い,臓器は腹壁2例(AとS),膀胱部分切除6例,膀胱全摘1例,子宮全摘2例,卵巣3例,小腸2例(すべてS)であった(重複あり).Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症は,イレウス2例,浅SSI 2例,尿路感染症1例であった.病理での効果判定は,Grade1a:8例,1b:3例,2:2例,3(CR):1例であった.遠隔転移のないR0:5例と,二期的肝転移切除後R0:1例に再発はなかった.複数臓器の転移切除,腹膜転移切除によりR0となった2例は7ヶ月と15ヶ月で再発した.R1の1例は13ヶ月で局所再発を認めた.遠隔転移を含むR2の5例は,全例術後に化学療法を行い,術後5~54ヶ月で原病死した.盲腸癌の1例は,腫瘍の縮小が得られず,化学療法を継続している.
【結語】局所進行結腸癌に対するNACは奏効率が高く,他臓器合併切除でR0となった症例は局所,遠隔ともに再発率は低く,積極的に導入すべきと考える.
【方法】2015年4月から2024年3月までに,NACを行った結腸癌15例を対象とした.臨床病理学的因子,化学療法の効果,有害事象,手術の短期と長期成績を検討した.
【結果】男8例,女7例,年齢中央値64(39~84)歳で,占居部位はC 1例,A 1例,S 13例であった.7例は同時性遠隔転移を認め,肝5例,肺2例,腹膜2例,傍大動脈リンパ節1例(重複あり)であった.12例は化学療法前に人工肛門を造設した.RAS wild 10例,mutant 5例であった.レジメンはFOLFOX 2例,FOLFIRI 7例,IRIS 3例,FOLFOXIRI 3例で,全例に分子標的薬を併用した.効果はPR 13例,SD 2例であった.原発巣の最大径はNAC前の中央値70.0(37.0~88.5)mm,NAC後が40.4(22.0~48.0)mm,縮小率は41.2(18.3~70.0)%であった.Grade3の有害事象は貧血1例,白血球減少5例,好中球減少5例,口内炎1例を認めた.15例中,腹壁浸潤を認めた盲腸癌1例以外の14例で原発巣を切除した.骨盤壁と膀胱に浸潤したS状結腸癌の1例は原発巣に明らかな遺残を認めた.他臓器合併切除を11例に行い,臓器は腹壁2例(AとS),膀胱部分切除6例,膀胱全摘1例,子宮全摘2例,卵巣3例,小腸2例(すべてS)であった(重複あり).Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症は,イレウス2例,浅SSI 2例,尿路感染症1例であった.病理での効果判定は,Grade1a:8例,1b:3例,2:2例,3(CR):1例であった.遠隔転移のないR0:5例と,二期的肝転移切除後R0:1例に再発はなかった.複数臓器の転移切除,腹膜転移切除によりR0となった2例は7ヶ月と15ヶ月で再発した.R1の1例は13ヶ月で局所再発を認めた.遠隔転移を含むR2の5例は,全例術後に化学療法を行い,術後5~54ヶ月で原病死した.盲腸癌の1例は,腫瘍の縮小が得られず,化学療法を継続している.
【結語】局所進行結腸癌に対するNACは奏効率が高く,他臓器合併切除でR0となった症例は局所,遠隔ともに再発率は低く,積極的に導入すべきと考える.