講演情報
[PD3-10]低侵襲結腸癌手術における体腔内吻合の周術期成績の検討
稲熊 岳1, 大塚 幸喜2, 廣 純一郎1, 升森 宏次1, 隈本 力1, 鄭 栄哲1, 大村 悠介1, 上嶋 徳1, 小林 陽介1, 谷口 寛子1, 近石 裕子1, 辻村 和紀1, 宇山 一朗2, 須田 康一1 (1.藤田医科大学病院総合消化器外科, 2.藤田医科大学医学部先端ロボット・内視鏡手術学講座)
【はじめに】低侵襲結腸癌手術における体腔内吻合は体腔外吻合に比べ,出血や腸管麻痺など周術期合併症の軽減が報告されている.一方腹腔内で腸管を開放することによる腹腔内膿瘍や腹膜播種の増加が懸念されている.今回当院で実施した低侵襲結腸癌手術における体腔内吻合の周術期成績について検討した.【方法】2019年1月から2023年12月に実施した腹腔鏡またはロボット支援手術症例747例中,体腔内吻合を実施した結腸癌148例を対象とし,周術期短期・中期成績を比較検討した.【結果】吻合法は全例体腔内にて機能的端々吻合を行った.腹腔鏡手術49例,ロボット支援手術99例であった.ロボット支援手術はda Vinci Xiが78例(79%),da Vinci SP11例(11%),hinotori9例(9%),Hugo RAS1例(1%)であった.腫瘍局在は右側結腸(盲腸,上行結腸)が107例(72%)と最も多く,Clinical Stageは0:I:II:III 1:46:14:87であった.手術時間中央値218分,出血量中央値は7mlであった.術中合併症は11例(7.4%)に認め,小腸損傷6例(5.4%),便汚染4例(2.7%),出血1例(0.7%)であった.開腹移行は認めなかった.切除標本の近位および遠位断端距離中央値は,100mm,110mm,郭清リンパ節個数中央値は27個であった.Clavien-Dindo分類Grade3以上の術後合併症6例(4.1%)に認め,縫合不全4例(2.7%),SSI2例(1.4%)であった.術後在院日数中央値は8日,在院死亡は認めなかった.術後再発は10例(6.8%)に認め,全例進行癌症例であった.腹膜播種は2例(1.4%)に認めた.【結語】低侵襲結腸癌手術における機能的端々吻合による体腔内吻合は,どの腫瘍局在においても安全に実施可能性で有用な吻合方法の一つと考えられた.