講演情報
[VPD3-6]医原性大腸穿孔に対する内視鏡的治療の適応と限界
高丸 博之, 斎藤 豊, 魚住 健志, 水口 康彦, 豊嶋 直也, 関口 正宇, 山田 真善 (国立がん研究センター中央病院)
【背景】
大腸早期がんに対する内視鏡治療は低侵襲な治療として広く普及してきている.しかし大腸ESDにおける術中穿孔は少ない頻度ながらも生じ,大部分は内視鏡的に対応可能と報告されている.大腸内視鏡治療の穿孔においてどのような状況であれば内視鏡的対応が可能となるかは考慮されるべき点と考えられる.当院において大腸ESDに伴う術中・遅発性穿孔とその対応を後方視的に検討し,現状と適応,及び内視鏡的な対応の限界について考察する.
【方法】
当院において2007年8月から2022年12月の期間に施行した大腸ESD病変を対象とした.
内視鏡データベース(JED)より後方視的にデータを抽出し,年齢,性別,病変径,病変部位,肉眼型,ESD施行時間,術中穿孔,遅発性穿孔の有無,病理組織,深達度,緊急手術の有無について解析を行った.
【結果】
検討期間内に2593病変に対してESDが施行された.患者背景は年齢中央値68歳[IQR:60-75]であり,男性の割合は46.2%であった.近位結腸・遠位結腸・直腸は各々52%,26%,22%であった.全体の42%が非熟練医によってESDを施行されていた.病変径の中央値は35mm[IQR:28-45]であった.Is/Ip/Is+IIa,IIa/IIb,IIc/IIc/IIa+IIc/Is+IIc/遺残再発/SMT及びその他の病変が各々40%,40%,15%,5%,1%であった.
病理結果は,腺腫/SSL,Tis/T1a,T1b,T2以深,その他不明がそれぞれ1%,61%,9%,1%,28%であった.
術中穿孔は87例3.3%に生じた.全例にクリップ縫縮が試みられた.術中穿孔後に緊急手術となった症例は認めなかった.遅発性穿孔は3例0.001%に生じた.いずれも緊急内視鏡が施行され,1例はクリップ縫縮を試み,2例は観察のみであった.3例のうち観察のみ施行した2例が緊急手術となった.
【結論】
大腸ESDにおいて術中穿孔はまれながら生じる可能性のある併発症である.適切な内視鏡クリップ・縫縮により緊急手術を回避できる可能性が示唆された.一方,遅発性穿孔においては緊急手術が原則適応と考えられた.ビデオを供覧し,文献的考察も含め提示する.
大腸早期がんに対する内視鏡治療は低侵襲な治療として広く普及してきている.しかし大腸ESDにおける術中穿孔は少ない頻度ながらも生じ,大部分は内視鏡的に対応可能と報告されている.大腸内視鏡治療の穿孔においてどのような状況であれば内視鏡的対応が可能となるかは考慮されるべき点と考えられる.当院において大腸ESDに伴う術中・遅発性穿孔とその対応を後方視的に検討し,現状と適応,及び内視鏡的な対応の限界について考察する.
【方法】
当院において2007年8月から2022年12月の期間に施行した大腸ESD病変を対象とした.
内視鏡データベース(JED)より後方視的にデータを抽出し,年齢,性別,病変径,病変部位,肉眼型,ESD施行時間,術中穿孔,遅発性穿孔の有無,病理組織,深達度,緊急手術の有無について解析を行った.
【結果】
検討期間内に2593病変に対してESDが施行された.患者背景は年齢中央値68歳[IQR:60-75]であり,男性の割合は46.2%であった.近位結腸・遠位結腸・直腸は各々52%,26%,22%であった.全体の42%が非熟練医によってESDを施行されていた.病変径の中央値は35mm[IQR:28-45]であった.Is/Ip/Is+IIa,IIa/IIb,IIc/IIc/IIa+IIc/Is+IIc/遺残再発/SMT及びその他の病変が各々40%,40%,15%,5%,1%であった.
病理結果は,腺腫/SSL,Tis/T1a,T1b,T2以深,その他不明がそれぞれ1%,61%,9%,1%,28%であった.
術中穿孔は87例3.3%に生じた.全例にクリップ縫縮が試みられた.術中穿孔後に緊急手術となった症例は認めなかった.遅発性穿孔は3例0.001%に生じた.いずれも緊急内視鏡が施行され,1例はクリップ縫縮を試み,2例は観察のみであった.3例のうち観察のみ施行した2例が緊急手術となった.
【結論】
大腸ESDにおいて術中穿孔はまれながら生じる可能性のある併発症である.適切な内視鏡クリップ・縫縮により緊急手術を回避できる可能性が示唆された.一方,遅発性穿孔においては緊急手術が原則適応と考えられた.ビデオを供覧し,文献的考察も含め提示する.