講演情報
[PD8-10]大腸癌腹膜播種に対する治療方針の検討
久永 真1, 野中 隆2, 野田 恵祐2, 富永 哲郎2, 福岡 秀敏3, 竹下 浩明4, 黨 和夫5, 田中 賢治6, 國﨑 真己7 (1.佐世保市総合医療センター, 2.長崎大学腫瘍外科, 3.諫早総合病院, 4.長崎医療センター, 5.嬉野医療センター, 6.済生会長崎病院, 7.佐世保中央病院)
【目的】腹膜播種を来した大腸癌は予後不良であり,手術適応に関しても明確なエビデンスは無い.今回我々は,同時性腹膜播種を伴うStagelV大腸癌症例を解析し,大腸癌腹膜播種に対する治療方針を検討した.
【方法】長崎県下の多施設データベースを用い2016年5月から2023年5月までに,同時性腹膜播種を有するStageIV大腸癌148症例を対象に予後に関して後方視的に検討を行った.
【結果】年齢中央値は68歳で,男性/女性=82例/66例,右側/左側=67例/81例,P1/P2/P3=69例/38例/41例,M1c1/M1c2=77例/71例であった.病理学的深達度は,pT1-3/pT4=40例/92例であり,根治度B/C=53例/95例であった.全症例の全生存期間中央値 は20.0ヶ月,3年生存率は35.0%であった.3年生存率で有意差を認めた因子は,腹膜播種の程度(P1:43.9% vs P2:44.6% vs P3:6.5%,p=0.012),根治度(B:50.0% vs C:24.9%,p=0.006),腹膜播種以外の遠隔転移の有無(Mlc1:51.8% vs Mlc2:12.5%,p<0.001)であった.多変量解析では未分化癌(HR,2.02:p=0.005),腹膜播種以外の遠隔転移の有無(HR,4.304:p<0.001),根治度(HR,1.82:p=0.016)が独立した予後規定因子であった.
治癒切除症例(根治度B:n=53例)に関する検討では術後補助化学療法施行により優位に生存率の延長を得ることができた(術後補助化学療法有り:57.8% vs術後補助化学療法無し:38.8%,p=0.017).多変量解析においても術後補助化学療法の有無(HR,0.37:p=0.043),未分化癌(HR,2.84:p=0.028)が独立した予後規定因子であった.
【結論】
遠隔転移が無く未分化癌以外の症例では積極的に根治的手術を検討し,根治度Bであれば術後の補助化学療法が推奨される.
【方法】長崎県下の多施設データベースを用い2016年5月から2023年5月までに,同時性腹膜播種を有するStageIV大腸癌148症例を対象に予後に関して後方視的に検討を行った.
【結果】年齢中央値は68歳で,男性/女性=82例/66例,右側/左側=67例/81例,P1/P2/P3=69例/38例/41例,M1c1/M1c2=77例/71例であった.病理学的深達度は,pT1-3/pT4=40例/92例であり,根治度B/C=53例/95例であった.全症例の全生存期間中央値 は20.0ヶ月,3年生存率は35.0%であった.3年生存率で有意差を認めた因子は,腹膜播種の程度(P1:43.9% vs P2:44.6% vs P3:6.5%,p=0.012),根治度(B:50.0% vs C:24.9%,p=0.006),腹膜播種以外の遠隔転移の有無(Mlc1:51.8% vs Mlc2:12.5%,p<0.001)であった.多変量解析では未分化癌(HR,2.02:p=0.005),腹膜播種以外の遠隔転移の有無(HR,4.304:p<0.001),根治度(HR,1.82:p=0.016)が独立した予後規定因子であった.
治癒切除症例(根治度B:n=53例)に関する検討では術後補助化学療法施行により優位に生存率の延長を得ることができた(術後補助化学療法有り:57.8% vs術後補助化学療法無し:38.8%,p=0.017).多変量解析においても術後補助化学療法の有無(HR,0.37:p=0.043),未分化癌(HR,2.84:p=0.028)が独立した予後規定因子であった.
【結論】
遠隔転移が無く未分化癌以外の症例では積極的に根治的手術を検討し,根治度Bであれば術後の補助化学療法が推奨される.